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八条学園騒動記
第七百六十二話 餓鬼とはその一

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                餓鬼とは
 セーラは今一緒にお茶とお菓子を楽しんでいる面々に優雅であるが深刻さもある口調で話していった。
「餓鬼はどうしてなるか」
「確かケチでな」
「人に何もあげないで自分だけ美味しいものを食べた人がなるのよね」 
 テンボとジャッキーが言って来た。
「それで常に何も食べられなくて飲めなくて」
「凄く苦しんでいるのよね」
「そうです、ですが広い範囲で言えば」
 セーラはテンボとジャッキーに答えて話した。
「このうえなく浅ましい」
「そうした人が餓鬼になるか」
「それで苦しむのね」
「はい」 
 そうだというのだ。
「餓鬼とは」
「浅ましい人がなるか」
「今お話してる人みたいな」
「その人は浅ましいですね」 
 実際にというのだ。
「柳さん数は無意味なだけですが」
「それだと餓鬼にならないか」
「そうなのね」
「品性はわかりません」
 柳田算数のそれはというのだ。
「どうやら品性や人格自体はです」
「そこまで酷くないか」
「今お話している人程は」
「ですからこれ以上はなく下らない人生で」
 そうであってというのだ。
「反面教師にしかならなくても」
「それでもか」
「餓鬼にはならないのね」
「そうです、人間として徳を積んでいれば」 
 例え無意味な人生を送っていてもというのだ。
「来世はわかりません、ですが」
「今話している人はか」
「餓鬼になっているのね」
「そして苦しんでいます」
「餓鬼道だったな」
「そこでなのね」
「かつては人の家に上がり込んで図々しくお腹一杯食べていましたが」
 そうであったがというのだ。
「今ではです」
「何も食べられないか」
「飲めないのね」
「はい」
 そうだというのだ。
「まさにです」
「何もか」
「食べられず飲めずなのね」
「そして苦しんでいるか」
「そうなのね」
「そしてです」
 そうしたことに加えてというのだ。
「お腹の中の虫達にです」
「寄生虫か」
「餓鬼って寄生虫いるの」
「それも只の寄生虫ではなく」
 人や他の生きものに寄生する様なというのだ。
「蜂や百足といった」
「毒虫か」
「彼等が寄生虫で」
 ダンに答えた。
「そして絶えずです」
「身体の中で暴れてるんだな」
「刺したり噛んだりします」
 腹の中でというのだ。
「そして餓鬼を苦しめています」
「そちらも大変だな」
「食べず飲めずです」
 そうして餓えと渇きに苦しんでいてというのだ。
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