第七十五話 焦る気持ちその八
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「世の中そんな奴もおるわ」
「どうにもならへん屑がな」
「玉石混合というが」
「玉も石も役に立つ」
「そやな」
「石は石でな、そして石も洗って磨けば」
「奇麗になるわ」
こうシェリルに返した。
「玉、宝石になれんでもな」
「そや、そして向いてる仕事やとな」
「玉になる」
「しかしや」
それでもというのだ。
「屑はな」
「屑でしかない」
「洗っても磨いてもな」
「どうにもならへんわ」
「そや」
シェリルはその通りだと話した。
「雑草という名前の草はないというが」
「中には屑もある」
「腐り果てた草がな」
「毒草でもまだ加減次第で役に立つが」
「腐り果てた草はな」
そう言うしかない輩はというのだ、玉石から昭和帝が言われたお言葉を思い出しつつそのうえで語るのだった。
「もう除かんとな」
「その場に害を為す」
「そや」
まさにというのだ。
「そうなるさかいや」
「決してな」
まさにとだ、中里はシェリルに言った。
「用いたらあかん」
「能力のあるなしやないな」
「ある程度の問題はええや」
人格面のそれはというのだ。
「完璧な人なんてや」
「おらへんわ」
「この世が完全やないのにや」
「完璧な人はおらへんな」
「そや」
「グノーシス主義の考えやな」
シェリルはこう中里に返した。
「それは」
「ああ、そうや」
中里もその通りだと答えた。
「こっちの世界で知ったわ」
「そやねんな」
「ヤルダバオトっていう神霊さんからな」
「これから戦う神霊さんの一柱やが」
「その神霊さんのことを知ってな」
そうしてというのだ。
「それでや」
「グノーシス主義もやな」
「知ったわ」
そうだったというのだ。
「ほんまな」
「そやねんな」
「そや、それで完全な世界やないから」
「完璧な存在はなくてや」
シェリルもまたグノーシス主義の考えを話した、この思想は他には創造主と救世主を別としていることも特徴である。
「そして人もや」
「同じやな」
「そやから完璧な人格者もや」
「おらへんわ」
「しかしな」
それでもというのだ。
「ある程度の人格やとや」
「用いるべきやな」
「多少問題があっても」
「ええな」
「しかしな」
「屑って言う位やとな」
「絶対にや」
シェリルは強い声で言い切った。
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