第二章
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「行ってきたらいいわ、何しろ豊臣家は運がよくてね」
「秀吉さんのお家は」
「実は大坂の陣でも滅んでいなかったし」
「あれよね、岸和田の方の」
「分家さんが実はね」
岸和田藩藩主の木下家はというのだ。
「秀頼さんのお子さんだったのよ」
「そうしたお話あるけれど」
「本島みたいよ」
「戦があっても滅ばなかった」
「そんなお家だからね」
「運があるのね」
「だからね」
それでというのだ。
「運をつける為にね」
「あの神社行けばいいのね」
「入試前にね。そうすればいいわ」
「それじゃあね」
葵は母の言葉に頷いた、そしてだった。
入試の少し前に友人にも話してそうして行くことにした、すると友人は葵にこんなことを言った。友人は同じ制服で黒髪をボブにして丸顔である。名前を木下幸恵という。葵のクラスメイトであるのだ。
「太閤さんって女好きだったのよね」
「それでも有名よね」
葵もそのことを知っていて応えた。
「あの人は」
「ええ、それで側室の人もね」
「多かったのよね」
「だったら私達が行ったら」
「女の子二人が」
「出て来てね」
そうしてというのだ。
「言い寄るかしら」
「それはないでしょ」
あっさりとだ、葵は幸恵に返した。
「流石に」
「ないかしら」
「ええ、今はあそこの神様だから」
これから行く豊國神社に祀られているというのだ。
「だからね」
「神様の格があるから」
「流石にね」
「出て来てナンパしないのね」
「そうでしょ」
こう言うのだった。
「あの人も」
「そうなのね」
「そう、ただね」
「ただ？」
「太閤さん確かに運があったわね」
葵は彼のそのことを話した。
「そのことは事実ね」
「だから天下人になれたわね」
「頭の回転が速くてね」
そうであってというのだ。
「運もあって」
「天下人にまでなった」
「そのことは事実でしょ」
紛れもなくというのだ。
「やっぱりね」
「そうね、運がなかったら」
幸恵はそれならと話した。
「戦で死んでるわね」
「あの時代はね」
「だからね」
それでというのだ。
「確かにね」
「太閤さん運がいいわね」
「そうよね、戦で生き残るだけでも結構ね」
「運がよくて」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「出世出来たから」
「織田信長さんの下で」
「尚更ね」
「運がいいわね」
「さらに天下人にまでなったから」
このこともあってというのだ。
「本当にね」
「運がいい人ね」
「そのことは間違いないわね」
「その通りね」
こうした話をした、そのうえで。
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