第27話:スノーエルフと失われた信頼
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ノノ・メイタperspective
僕は追い詰められていた。
「ここはお前達の踏み込める場所ではない。すぐに帰れヒューマン」
作り物のような端正な顔立ち、そしてエルフ特有の長い耳。
まさか……オーサムにある聖剣の神殿の真横にスノーエルフの里があったなんて。
だが、このままセイン様がツキツバに殺されるのを指をくわえて観ていろと言うのか?
それは違う!
「違うんです!聴いて下さい!僕は……僕は勇者の命を狙う暗殺者から勇者を護る為に先回りして来ただけです!」
けど……
踏み出そうとしたところで目の前に矢が立った。
「興味ないな。今までは協力していたかもしれないが、此度の魔王討伐にはこの里は一切関わらないと決めている」
「そんな……この里が魔王に蹂躙されても良いと言うのか!」
「蹂躙だと?」
スノーエルフがピクッと反応を示す。
何故そこで?
僕は嫌な予感がした……
「最近のヒューマンはエルフに対し思うところは無いのか?攫っては売買するその尽きない欲望、ほとほと貴様らには愛想が尽きた」
不味い。
不味い不味い不味い不味い!
一部のあくどい商人のせいで、全く関係無い勇者セイン様の信頼まで失われている。
「それは全員じゃない!特に勇者セ―――」
その時、僕は嫌な事を思い出してしまう。
『……本気度と度胸もあのヘタレ勇者とは別格か……』
『意味は在る。意義もね。大義ですらある』
『アタシさ、セインの事が好きなんだ。でもこの感情はどこかおかしくて、思考もどこかおかしくて、おかしい事だらけなんだ。以前は……好きな人を好きでいられた筈なのにさ』
『セイン殿の仲間も戦士ならば、敵に捕虜にされ生き恥を晒すより、潔い討ち死にを望んでいる筈です……それを貴様は……』
それを見透かされたのか、スノーエルフが再び矢を放った。
矢は僕には当たらなかったが、スノーエルフは勝ち誇ったかの様に言った。
「その顔、なるほどそれが貴様の本性か」
その言葉を聞いて頭に血が上る。
「本当にそれで良いのかよ……」
「ん?」
「本当にそれで良いのかと訊いてんだよ!」
「何の話だ?」
どいつもこいつも……他人事だと思って……許さん!
「勇者セイン様が魔王に敗れたら世界が終わるんだぞ!其処に例外は無いんだぞ!お前達も蹂躙されて虐殺されて奴隷にされるんだぞ!」
だが、何故かスノーエルフの心には届かない。
「ヒューマンと大して変わらないではないか。魔王とヒューマン、何が変わらん」
「そんなに終わらせたいか!エルフそのものを!」
「だから我々はヒューマンとの―――」
その時、あらゆる所に潜んでいたスノーエルフが次々と倒れた。リーダー格を残して。
「よく吠えた。この勝負……ノノ殿の勝ちです!」
気付けば、ツキツバが僕の目の前に立っていた
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