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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第九十三話 本音と建前
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はアムリッツァ宙域のミュンツァーだ」
「面妖ですね。乗組員は叛乱軍ですか?」
「そこが微妙なところだ。ミュンツァーの民間人らしい。地理的には叛乱軍の領域だから、叛乱軍と言ってもおかしくはないんだがな。本来なら逮捕拘禁だが、臨検を実行した駆逐艦の艦長は商船を解放したらしい」
「迷わず拘禁すべきでしたな…叛乱軍所属とはいえ、民間の商船でフェザーン船籍ですから、その艦長も手に余ったのでしょう。という事はその商船は今頃はオルテンベルクに到着しているという事になりますが」
「そういう事になる」
「…辺境の哨戒を閣下が行われてはどうでしょう。無論閣下ご自身ではなく、麾下の艦隊で、という事ですが。家の中で害虫を一匹見かけたら、十匹は居ると思え…と母親に言われた事があります」
「貧乏していた頃、姉にも同じ事を言われたよ」
今の姉上を想像したのだろう、フェルナーは声を立てずに笑いだした。
「…申し訳ございません」
「いや、構わない。艦隊の状況は」
「休暇に出ている乗組員もおりますから、数日中には。付け加えますとケスラー提督の艦隊がシャンタウにて訓練中です」
「ではケスラーにやらせよう。他の艦隊についても早急に出撃準備を完成させるようにと隣室のキルヒアイス参謀長に伝えてくれ」
「了解いたしました」
フェルナーが隣室…公室に向かおうとすると、再び電話が鳴った。
「…司令長官からです。来て欲しいとの事です」
「解った。すぐ向かうとお伝えしてくれ」


宇宙暦796年2月15日10:00
バーラト星系、ハイネセン、ハイネセンポリス中央区、自由惑星同盟、最高評議会ビル、評議会第二会議室
ヤマト・ウィンチェスター

 
今日はここ最高評議会ビルで、最高幕僚会議が開かれている。参加者は最高評議会の各委員会の委員長と書記、軍からはグリーンヒル本部長と俺、出兵案の発案者としてムーア、ルグランジュ、ホーランドの各中将が参加している。軍からの参加者として本部長や発案者の三中将が出席するのは当然だとしても、俺まで参加させられる羽目になった。
『貴官なら実戦兵力の統括者代表として相応しいじゃろう。儂は冗談は好きじゃが弁舌は苦手での。思い切り本音をぶつけるといい』とはビュコック長官の弁だ……まあ政府のお歴々が何を考えているのか興味はある、長官代理として頑張るか…。

 自由な討議で活発な意見交換を求めるとの事だけど、誰も発言しようとしない。発言の順序でも決まってるのか?仕方ない、俺が口火を切るとするか…何て言おう、この手の会議でそもそも誰がどう発言していたか…思い出せ、思い出せ…。
「我々は軍人である以上、赴けと命令があれば何処へでも赴きます。既にアムリッツァを領し、更に帝国中枢へ向けて進撃する、と言うのであれば喜んで出征します。しかし雄図と無謀はイ
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