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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第九十三話 本音と建前
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うぞ」
そう言ってキルヒアイス参謀長は穏やかな顔を俺に向ける。キルヒアイス、それにミューゼル…まさか幼年学校の同期に、しかもこの二人に仕える事になるとは思わなかった。姉が皇帝陛下の寵姫であのをいい事にそれを鼻にかけた不遜な態度…能力はあるが、かたや貴族とは名ばかりの帝国騎士、かたや平民、親しくなる必要など全く感じられなかった。それが今は……。
「疑問はありません、ですが…」
「ですが…何でしょう?」
「時代を感じますな」
「時代、ですか」
「はい。激動の時代、という気がします。内乱の可能性を理由に、ここまであからさまな戦力配置が行われた事はありません。いい時代に生んでくれたものです。内乱、そして叛乱軍…武勲はそこらじゅうに転がっている。帝国の為、副司令長官の為、そして自分の為にも気張らねばなりませんな」
「そう、ですね。ですが、気張る前に一休憩としましょうか」
参謀長が従卒を呼び入れ、自分の財布を従卒に渡した。好きな物を見繕って買って来て下さい、と従卒に申しつける。従卒にとっては役得だ、満面の笑顔で公室を出て行く。俺やフェルデベルトにとってもありがたい事なのだが、一つ困った事がある。従卒の好みなのか参謀長の好みなのかは分からないのだが、やたらと甘い物が多い事だ。ザッハトルテ、キルシュトルテ、クレームダンジュ…多いだけではなく、異様に詳しいのだ。そういうご婦人とお付き合いでもしているのだろうか。もしそうなら俺は甘い物好きな女と付き合のは止めよう、公私共に甘い物漬けにでもなったら確実に寿命が縮む…。

14:05
宇宙艦隊副司令長官執務室、
ラインハルト・フォン・ミューゼル

 「はい、副司令長官執務室です……はい、在室していますが…はい、代わります…閣下、司令長官よりお電話です」
フェルナーが電話を取り次ぐ、何かあったのか…。
「ミューゼルです……はい、了解いたしました」
電話を切ると、フェルナーが興味ありげに口を開く。
「閣下、何かあったのですか」
「辺境できな臭い動きが発生している様だ。辺境…元帥閣下が仰ったのはフォルゲンだが、民間商船が彷徨いていたらしい」
「商船ですか」
「そうだ。一隻拿捕したそうだ。臨検の結果、フェザーン船籍の商船だった」
「フェザーン船籍なら問題無いと思いますが…元帥閣下はそうお考えではない様ですね」
「うむ。調査の結果、フェザーン船籍の商船には間違いないのだが、その船が所属しているのは叛乱軍の輸送会社らしい」
「よく分かりましたね」
フェルナーのいう通りよく調べたものだ。事実なら、叛乱軍は帝国領内で経済活動を営んでいる事になる。

 「どう思う、フェルナー」
「積荷は何だったのでしょう」
「空だったそうだ。しかし行き先はオルテンベルク…フォルゲン宙域に存在する星系だ。出発地
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