第12話 宣戦布告
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ネタばらしを聞いている村人の顔が、教会炎上も相まって青くなっている気がする。気のせいよね?
「さて。そういうわけで、私達は別に正義の味方でも何でもない。ここにある食糧・財宝の4割は私達が貰う」
いきなりの略奪宣言に反応があるかと思えば、村人たちは無言。
内心首をかしげながら話を続ける。
「財宝の残りは、囚われていた女性で分配。食糧の残りはあなた方で分けなさい。あと、大金を手に入れた女性たちを嫉妬したりして何かしたら・・・わかるわね?私達にばれないなんて幻想は持たない方が身のためよ?」
出来なくはないが面倒なのでそんなことはしない。それでも言っとけば抑止力になるかと付け足す。
私の話しが終わると・・・・・・・・・・
「「「「「「「「「「わあああああああああああああああああああ!!!!」」」」」」」」」」
村人の歓声。女性たちはすぐさま家族や恋人の下へ駆けよる。
いやいや、どっちも4割頂くのはスルー?もっと吹っ掛ければよかったかしら。
そんな事を考えながら、財宝4割を徴収袋へ。
「村長、食糧でなるべく残して欲しい物は?」
「そうですなぁ、出来れば麦と種は残していただけると・・・」
予想通り最初に話しかけてきた老人が村長だったらしく、遠慮しながらも村のためにしっかり告げてくる。
好感を覚えながら、酒と野菜を中心に、リュックから出した食糧袋に詰める。
最近気付いたのだけど、袋を片手で掴んで、もう片方の手で品を掴むと勝手にしまってくれる便利機能が付いていた。
まぁ、小分け袋の口から明らかに入らない大きさの袋詰め食糧とか入っていくからね。
そんな訳で徴収作業を終えると、徴収袋と食糧袋をマントへしまう。リュックもそのままマントへしまっていると、捕えられてい中でただ1人、ぼうっと立ちつくす女性が視線に入る。
「村長、あの人は?」
「あぁ・・・彼女は、その・・・親を幼い頃に亡くし、教会に連れ去られる時に抵抗した恋人を目の前で・・・」
「・・・」
言葉も出ない、というのはこういう事を言うのかしらね。
今私の中に渦巻く怒りの感情は、同情以外の何物でもない。
それでも思う。もっとあの下衆共を苦しめるべきだったと。
エスナで心の傷は癒している。それでもなお、事実を前に無気力になってしまうのはどうしようもできない。
そこから立ち直るには、多くの時間が必要だ。
よく見れば、歓喜に沸く村人たちも、彼女の様子を伺っている。
塞ぎこまないようにあえて喜びを表現する。しかし声を掛けるのは躊躇われる。そんな所かしら。
自分たちが素直に喜んでいるのも事実。その上で他者まで気にかける、なかなか出来る事じゃない。
そう思いつつ、どう
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