第一章
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空と大地に
大地の神ゲブと天空の女神ヌトは大気の神シュウと霧の女神テフヌトの間に生まれた兄妹である。そして夫婦になることが定められていた。
二柱の神々は常に共にいて将来のこともわかっていたので非常に仲睦まじかった、それで夫婦になったが。
神々はその夫婦を見てだ、困り果てた。
「常に共にある」
「抱き締め合っている」
「地と天が重なり合ったままだ」
「隙間なく張り付いている」
「これではどうにもならない」
こう言ってその夫婦神を見て困った顔になっていた。
「大気も流れないしだ」
「他のものも同じだ」
「星も月も入られない」
「私もだ」
太陽神も言ってきた。
「これではな」
「そうだな、貴方もだな」
「どうにもならないな」
「地と天が常に重なり合っていては」
「太陽ですら入られない」
「それではだな」
「世を照らすことも出来ない」
太陽によってというのだ。
「とてもな」
「そうだな」
「これではどうにもならない」
「離れて欲しい」
「夫婦仲が睦まじいことはいいことだが」
「それでも」
極端過ぎるとだ、神々も困っていた。兎角ゲブとヌトは離れなかった。それぞれ若々しい姿をしている。
「このままずっといよう」
「これまでそうだったし」
夫婦神はお互いを抱き締め合ったまま話していた。
「これからもね」
「うん、このままだよ」
「ずっと抱き締め合っていましょう」
「こうしていよう」
こう言い合って昼も夜もなく抱き締め合っていた、そしてだった。
地と天は隙間なく張り付き合っていた、そうした状況が続き神々も世の中の全ての者達も困っていた。それでだった。
神々はたまりかね夫婦神の父であるシュウ初老の男の姿をしていてファラオの冠を被った彼に話した。
「このままではどうにもならない」
「地と天が付いたままでは」
「だからだ」
「ここはだ」
是非にというのだった。
「夫婦神の父である貴方に頼みたい」
「彼等をどうにかして欲しい」
「お願い出来るか」
「ここは」
「そうだな、私もだ」
シュウは苦い声で話した。
「これはよくないとな」
「思っているな」
「そうだな」
「貴殿も」
「前からな、捨て置けぬとだ」
その様にというのだ。
「思っていた、ではだ」
「動いてくれるか」
「この度は」
「そうしてくれるか」
「そうする、父神としてな」
神々にこう答えてだった。
シュウは立ち上がった、そうしてだった。
お互いに抱き締め合っている自身の子供達のところに行きそうして言った。
「離れるのだ」
「嫌です」
「何があっても離れません」
これが夫婦神の返事だった。
「私達は離れません」
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