暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第212話:揺れ動く心
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ヴァネッサに剣を持っていない左の拳で殴りつける。

「グッ!?」

 飛ばした腕の回収で隙が出来てしまったヴァネッサはマリアの拳による一撃で大きく後退させられた。そこを見逃さず、マリアは蛇腹剣で空間を十字に切り裂いた上で変形した左のガントレットを突き出した。すると彼女が剣を振った軌跡から放たれるように無数の十字架状のエネルギーが発射された。

[DIVINE†CALIBER]

 放たれた無数のエネルギー弾がヴァネッサを含む範囲に着弾し、大きな爆発を起こす。奏達が見ていると、煙が晴れてその場には目立つほど大きな傷は無いが決して小さくはないダメージを負った様子のヴァネッサが腰を落としているのが見えた。

 今なら力尽くで捕らえられるかもしれない。奏達がそう思っていると、ヴァネッサの脳裏に今度はエルザからの念話が届いた。

『ヴァネッサ! 腕輪と保護対象を連れて、聖域から離脱できたであります!』

 彼女達の目的はこれであった。先程の腕輪の力の一時的な暴発により、結界が破られこの場所が知られてしまった。S.O.N.G.の介入が避けられないと判断したエルザは、敢えてここでアルカノイズを暴れさせることで逆にS.O.N.G.の目を釘付けにして訃堂と腕輪をこの場から運び出すまでの時間稼ぎを画策したのだ。目論見通りS.O.N.G.は罠や増援、別の場所への襲撃を警戒してここには必要最低限の人員しか送っては来なかった。

 最早この場に残り続ける意味は無い。旗色も悪くなってきた今、ヴァネッサの判断は早かった。

「了解、こちらも撤退するわ。例の場所で落ち合いましょう」

 ヴァネッサが念話でこの場に居ない者と話し合い、逃げる方向で考え始めたのを察した響は咄嗟に彼女を引き留めようとした。

「待ってくださいッ! 私達は、本当にあなた達を助けたいんです! あの人が、アリスさんがあなた達の事を……」

 響の必死の説得も、今のヴァネッサに届く事は無かった。否、全く届いていない訳ではない。ただ今の彼女を動かすには、響の言葉だけではどうしてもピースが足りていないのだ。
 それを証明する様に、ヴァネッサは後ろ髪を引かれているような顔をしながらも拒絶の意を示した。

「残念だけれど、あなた達の手を取る訳にはいかないの。……ごめんなさいね」

 その言葉の直後、ヴァネッサの目が眩い光を放った。思わず目も眩むほどの光を前に、奏達は手を上げて目を光から守ろうと視界を塞いでしまう。

 その間にヴァネッサは両足から噴射するロケットでその場から飛び去って行ってしまった。響は漸く戻った視界の中、飛び去っていくヴァネッサの姿を寂しそうに見つめていた。

「……やっぱり、私の言葉じゃ届かないのかな……」

 自分の無力さを突き付けられて
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