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星河の覇皇
第八十七部第一章 シャイターンの復活その二十

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「だが歴史にはな」
「このことも残っていますね」
「このあまりもの敗北も」
「油断したがうえの」
「この時五十六万の軍勢はかなりの者が死に」
 項羽率いる三万の軍勢の烈火の如き攻勢によってだ。
「血が河の様だったという」
「屍で地が埋まったとも言われていますね」
「兎角凄まじい敗北でした
「二十倍近い数であったとはいえ」
「それでも油断していたが為に」
「そして連合軍を見ることだ」
 今度はこの巨大国家の話をした。
「エウロパ戦役で彼等は数と装備でエウロパ軍を圧倒していたな」
「最早絶対に敗れない」
「そうした状況でしたが」
「油断はしませんでしたね」
「彼等も」
「あれは見事だった」 
 連合軍の油断しない姿勢はというのだ。
「最後の最後まで手綱を緩めなかったな」
「はい、連合軍の招聘の質は低いと言われていましたが」
「それでもです」
「油断はせずに」
「最後まで隙はなかったです」
「あれは非常によかった」
 連合軍が隙を見せなかったことはというのだ。
「若し隙を見せているとだ」
「敗れていましたね」
「まさにその時点で」
「そうなっていましたね」
「それもマウリアが仲裁に入ってもだ」
 それで矛を収めてもというのだ。
「警戒は解いていなかったな」
「そうでしたね」
「確かにエウロパ各地で暴飲暴食を見せていましたが」
「食べて飲むだけで乱れず」
「隙はなかったです」
「そしてオリンポス条約が締結されるとエウロパを去った」
 エウロパとの戦争が終わることを政治的に決定したその条約が結ばれてというのだ。
「それまで隙はなかった」
「左様でしたね」
「連合軍は全く隙を見せず」
「そうしてでしたね」
「エウロパを去り」
「そして戦争を終えましたね」
「そうさせたのは八条長官だが」 
 国防省つまり連合軍を率いていた彼がというのだ。
「あれは見事だった」
「まさにですね」
「あの長官殿がそうさせましたね」
「最後の最後まで油断させず」
「そうして勝利を収めましたね」
「彼は損害を出すことを嫌っていた」
 連合軍のそれをだ。
「極端にな、連合は民主主義の国だ」
「市民に主権がありますね」
「選挙民である彼等に」
「このことは我がオムダーマンもですが」
「我が国以上にその考えが強いですね」
「そして軍人は市民である」 
 この考えも強いとだ、アッディーンは指摘した。
「そしてだ」
「それで、ですね」
「軍に損害が出ると」
「そうなるとですね」
「すぐに政治家の責任問題になる」
「そうなるからですね」
「だからだ」
 それでというのだ。
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