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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
第24話トリューニヒトの大政略
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きたい!われわれは勝利しました!自由惑星同盟はついに略奪者の【蛇口を閉める】ことに成功したのです!」

 自信に満ちた声を身振りが飾り立てる、視線の動きは記者たちの中で視線を向けながらもわずかに気が緩んだ者たちを揺さぶり、惹き付ける。

「この勝利を迅速に活用しなくてはなりません!我々の手で着実に自由惑星同盟の勝利へつなげていかねばなりません!自由惑星同盟の勝利とは何か!豊かで自由だ自由惑星同盟が帝国の専制者共の手から人民を解放することです!それには何が必要か!」

彼の言葉はなるほど、美辞麗句かもしれない。だが何を美麗と感じるかは人それぞれである。その中で言葉を選び、【他人を揺さぶりながら客に嫌われない】のは才能の一つだ。それもに同盟中の厄介なプレイヤーたちを知るための勤勉さに裏打ちされた、才能だ。

「傷ついた人たちを癒し、産業を強固に!人々をより健康に!そして軍を回復させ、そしてより強く、強靱に同盟軍が立ち上がる必要があります!復興と軍の再建の時期が訪れたのです!!サンフォード最高議長と共に国民共和党は国民の安全保障と帝国への勝利のため!同盟全土との連帯を続けていきます!!」

同盟弁務官達も最高評議会に若くして身を連ねたヨブ・トリューニヒト国防委員長閣下が記者会見に参加した取材陣の大半の意識を誘導したのを見てとると、天を仰いで溜息をつくしかない。

 

「やられたな」

「うん、これで私たちの法案にトリューニヒトが噛んでくるのをはねのけては不義理になってしまう、制服軍人たちの人事案に私たちが口を挟む権利を得たにしてもこりゃ赤字だね」

「軍内の主導権をトリューニヒトが握ることができた。与党3党が決裂したわけではありません。本題はここからですよ」

 エオウィン・イシリアンは微笑を浮かべたまま年長者たちをなだめる。イロンシが背筋を伸ばし、全く持って退役将校らしい姿勢で、敬意をこめて長老たちに進言した。

 ――兎にも角にも同盟軍内に秩序が戻るのに我々が助力したことが重要です。

 







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