前の世界
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弾を斬り落とし、「やれやれ」と首を振る。
「ハルト君。まだ僕が喋ってるじゃない。その間くらいは待っててよ」
「お前の無駄話を聞く暇なんてない……」
「……全く。折角君の秘密を内緒にしてあげてるのに」
ソラはわざとらしく舌を出す。
「ついでだ。そこの市長さんには、絶望してもらおうかな。もしかしたらゲートかもしれないし」
そう言うソラの顔に、ファントムの紋様が浮かび上がる。
ハルトと可奈美は、それぞれの力の源を手にするが、すぐに背後の市長へ目配せする。
「あの、これから俺たちがすることは……」
「案ずるな。君たち……というより、蒼井君の事情は把握している。気にせずに戦いたまえ」
「……! ありがとうございます!」
すでに、ソラの変異は始まっている。
ストールが特徴の彼の姿は、だんだん凶悪なものへ変異していく。
緑の体色を持つ異形。小柄ながら、その凶悪性を顔にも浮き彫りにさせているそれは、両手に持つ刃をクルクルと回転させた。
「あれは……!?」
「ファントム。聖杯戦争関係なしに、この世界に根付く脅威だよ」
「ファントム……!?」
おそらくこの世界で初めて目にするであろう魔人の姿に、えりかは目を丸くする。
「ファントムって……亡霊? お化け? そんなものまでこの世界にいるんですか?」
「ファントムは、魔力を持った人間を絶望させて仲間を増やす。その人間の希望や命を吸い上げてね……」
「魔力を持った人間……?」
「ゲートって言うんだけどね。まあ、その辺の話はまた今度ね」
「この世界も、元々大変だったんですね……」
えりかが小声で呟いた。
一方、グレムリンはやれやれと肩を窄めた。
「他人事みたいによく言うよ。君も、僕と同じファントムなのに……」
「……」
ファントム、グレムリン。
ソラが変異したそのファントムは、全く変わらない口調で言った。
「やっぱり、知ってたんだ……」
可奈美は、小さく呟いた。
「ハルトさんが……ファントムだってこと」
「あれれ? 可奈美ちゃん、知ってたの? なんだ、僕だけが知ってる秘密だと思ったのになあ」
「まあ、この前それで色々あったからね……」
ハルトは横目で可奈美を盗み見る。
彼女も同じくハルトへ目線を合わせており、目が合ったと分かったとき、彼女もまた微笑していた。
「悪いけど、俺は今償いのために生きるって決めたんだ。松菜ハルトを殺して生まれた罪からも、もう逃げるつもりもない」
「ふうん……何だ、つまんないの」
グレムリンはハルトへ興味を失ったように肩を落とす。
「じゃ、もういいや……このまま君たちを倒しちゃってもいいかな」
「来る……!」
ハルト、可奈
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