前の世界
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刃を目視で避ける動きをしていなかったか。
「これは……?」
刃を拾い上げるえりか。
腕サイズの刃が電灯に照らされ出した途端、その形状にハルトは目を大きく見開いた。
「あれは……!」
「ハルトさん……これって……!」
そしてそれは、可奈美にも見覚えがあるものだろう。訴えるような目線で、ハルトを見つめている。
頷いたハルトは、周囲にその気配を探る。
夜の見滝原。すでに行き交う人の数もまばらになってきたその中に、不審な動きをする者はいない。
その時。
「誰か探してる?」
いつの間にか、目と鼻の先にその男の顔があった。
季節を問わない、帽子とストールが特徴の青年。顔を大きく歪めた笑みを張り付けながら、ハルトの目の前で手を振っている。
「ハロー」
「っ!」
ハルトは反射的に蹴りを放つ。
だが、ハルトの蹴りは虚空を穿つ。
そしてすぐ背後に、青年の気配。
「そこかッ!」
振り向きざまに放つ裏拳。だがそれもまた、虚空を切る。
「ほらほら。こっちだよ、ハルト君」
その声とともに、ハルトの脳天に衝撃が走る。
頭部を蹴られたような衝撃に前のめりになりながら、ハルトは指輪を発動。
『コネクト プリーズ』
手にしたウィザーソードガンを発砲。ハルトの魔力により操られた銀の銃弾たちは、そのまま虚空のアスファルトを穿つ。
甲高い破裂音が鳴り響く。すると、銃弾が傷付けた道路に、音もなくひらりと帽子が舞い降りた。
「おやおや……いきなり凄い攻撃性だね」
帽子を拾い上げる、見えない攻撃をしてきた敵。
人間の姿をしたそれは、作られたような笑みを浮かべながら帽子を被り直した。
「久しぶりだね、ハルト君」
「ソラ……!」
その姿を見た途端、ハルトの顔が歪む。
「お前、何でここに……!」
「見滝原にいるんだ。たまたま会っても仕方ないでしょ?」
ソラ。
それは、ハルトにとって因縁深い名前だった。
この見滝原に来る前からの敵。人間の心を持ちながら、ファントムという怪物としても活動をしている狂人。
ハルトはウィザーソードガンの銃口をソラに向けたまま、可奈美の背後にいる市長へ目を向ける。
「……逃げてください。……危険です」
ハルトは決してソラの一挙手一投足から目を離すことなく、背後の市長へ警告した。
だが、彼から動く気配はない。それどころか、ソラは完全にターゲットを市長へ変更したようだ。
「その顔は見覚えがあるね。確か、見滝原の市長さんでしょ? 名前は確か……」
ソラは名前を口にしようとするが、それよりも先にハルトがウィザーソードガンを発砲する。
ソラは手にした新たな刃でその銃
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