第16話:ポケモントレーナーVS悪徳勇者
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実演してやるよ。僕とメタモンが」
すると……何故かグートミューティヒの後ろにマシカルがいた。マドノ達の後ろにマシカルがいるのにである。
「え!?私!?」
これこそ、どんなポケモンにも細胞レベルでコピーして変身するメタモンの真骨頂。
メタモンは戦闘中にマシカルに変身し、マドノ達がムウマやアムに構っている間に上級魔法の詠唱を終えていたのだ。
「僕の仲間達が時間を稼ぎ、君達が馬鹿やってくれたお陰で、メタモンの呪文詠唱は完了したよ」
アムが歓喜しながら叫んだ。
「その手があったかぁー♪」
「さて……ほんの一部だけど君達がこの洞窟で行った悪行の一部をお返しするよ」
それを合図に、メタモンが火の最上級魔法を容赦無く放った。
「ライナロック!」
強力な炎と爆発に襲われたマドノ達だが、経験値稼ぎに費やした時間の差なのか思った程のダメージを与える事は出来なかった。
「てめぇ!星空の勇者である」
そう言いかけて、
ドックン
マドノは何故か嫌な予感がして撤退を選択した。
「……今日はこのくらいにしてやる。俺達はもっと経験値を稼がなきゃいけないからな」
そう言いながらグートミューティヒに背を向けながら足早にこの洞窟を去るマドノ。
他のメンバーも困惑しながらマドノを追うが、フノクだけは未練がましい捨て台詞を吐いた。
「く!?……そこの女装偽乳糞男、今日はこのくらいにしてやるが、次こそは死をもってあの時の罪を償う準備を整えておけ」
どうにかマドノ一行を追い払ったグートミューティヒとアムは、マドノ達に蹂躙され虐殺されたオーガ達を焚火の中に次々と投げ込んでいた。
「……魔王の言ってた事は……間違ってた……」
「魔王『様』じゃなくて?」
その途端、アムは激昂した。
「『様』?これで人間よりモンスターの方が優れているって言えるのかよ!?」
今度こそアムが魔王軍から追い出されるのではと、少し引いているグートミューティヒ。
「良いの?そんな事を言って?今度こそ―――」
だが、牛乗りオーガが巣食う洞窟で起こった惨劇がアムから魔王への忠誠心を奪ってしまっていた。
「うるせぇよ!あんな選民詐欺こっちから願い下げよ!」
ポケモン以外のモンスターを率いて人間社会を蹂躙して支配しようとする魔王への軽蔑を込めた決別の言葉。
それは、ツノクジラの許から死別して外の世界に出てしまった事で、マドノ一行の経験値稼ぎと言う名の蹂躙と言う現実を見てしまったが故の、残酷な現実を顕す言葉であった。
それに対し、グートミューティヒは返す言葉が無かった……
アムから魔王への忠誠心を奪った非道な蹂躙を行っていたのは、あろう事か人類の代表である星空の勇者マドノなのだから……
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