第16話:ポケモントレーナーVS悪徳勇者
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様子見していたが、グートミューティヒの戦術に翻弄されるマドノ達を観ていると、あまりの情けなさに殺意が阻害される。
「なんだこれ?完全に遊ばれているじゃん」
しかも、グートミューティヒの平均レベルは22なのに対し、マドノ一行の平均レベルは34。普通に考えればマドノの圧勝で終わる筈である。
だが、蓋を開けてみれば格下のグートミューティヒの戦術が格上のマドノの戦法を凌駕しているのだ。
それは、諄い様だが魔王軍と戦う決意をしてから今日までの言動が影響していた。
グートミューティヒは初めから相手のタイプに合わせた戦い方を心がけており、マドノ一行の非道さを目の当たりにした事とお人好しな性格が災いしたのか、経験値稼ぎをサボった状態で格上のボスモンスターと戦う事を余儀なくされた影響で、グートミューティヒの戦術は十分に磨かれていた。
その一方、マドノ一行は事前に目標レベルを多めに設定し、目標レベル到達までボスモンスターとの戦いを避けて雑魚狩りに没頭。よく言えば慎重。悪く言えば臆病な戦略が、マドノ一行から格上との戦いを奪い、戦術の幼稚化・単純化を招いてしまったのだ。
そんな圧倒的な戦術差を魅せられたアムは、グートミューティヒの殺害を決意してから初めて敗北を認めた。
(ああ……グートミューティヒはただ強いのではなく、狡賢いんだ……こりゃもう敵わないや)
その上で、アムが攻撃したのは……マシカルであった。
「ちょっと!?ただでさえ1人でこれだけの数を相手にしているって言うのに!」
「あの女装糞男がアンタに攻撃を集中するって事は、あの糞男にとってアンタが厄介って事でしょ?」
「ちょ!?私があの女装小僧に何したって言うのよ!?」
「そんな台詞が出る時点で、あの糞男の事を解っていないのはアンタの方よ。アイツは、そんなくだらない憎しみを戦い方に盛り込む程バカじゃない」
アムの言葉通り、マドノ一行の中でゴーストタイプのポケモンを殺せるのはウォーロックであるマシカルのみであり、他の3人はムウマのゴーストタイプとしての特性を生かした防御策に完全に翻弄されていた。
しかも、その3人がこの戦いで最も重要なマシカルを無視してムウマへの無意味な攻撃を繰り返しているのだ。
1対3で3の方が苦戦していると聞かされれば、1の方が強いと誰もが思ってしまうだろう。
そこが戦術の幼稚化の怖いところである。
戦いも終盤になった時、ポケモン達に指示を出していたグートミューティヒが突然戦闘とは関係ない事を言い始めた。
「ここまでハンデ……もとい白星を貰って負けたら、僕は言い訳出来ないね」
グートミューティヒと違ってちゃんと経験値稼ぎを行っている自負があるマドノにとっては聞き捨てならない言い分だった。
「俺達がお前に勝ちを譲っただと?何を言ってる!俺達はまだまだ動けるし戦える!
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