八十六 元祖・猪鹿蝶
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何かあった様子のナルを見て、シカクは眉を顰める。
ペインが木ノ葉の里を襲撃して里は壊滅状態だが、その危機的状況をどうにか打破しようと、知恵を絞りあった結果、彼らもまた、ペイン本体が別の場所にいることを突き止めたのだ。
今はその場所目掛けて、ペイン探索隊として動ける者だけが向かっていた矢先に、ナルと出くわしたのである。
「…とにかくオレってばこれからペインの本体のところへ行く…」
「ペイン本体の居場所を知ってるのか…!?」
驚くチョウザに、ナルはなんでもないように「仙人モードで見つけた」と頷いた。
「だけど皆は来ないでくれ…オレひとりで行きたいんだってばよ」
ナルの言葉に困惑する山中いのいちと秋道チョウザの隣で、シカクだけは無言を貫いていた。
やがて、口を開く。
「すまんな、ナル」
直後、ナルの動きが止まる。
微塵も自由に動かせなくなった見覚えのある術に、ナルの眼が驚きで見開いた。
「忍びである前に、俺は父親だったようでな…」
ペイン天道と戦い、倒れたシカマルの姿が脳裏にくっきりと残っている。
医療忍者が治療しているらしいが、とても治せる状態じゃないとシカクは息子と同じ聡明な頭脳で理解したくなくとも理解していた。
「息子を殺した相手を許せるほど忍びになりきれてないんだよ」
シカマルが息を吹き返したとは知らないシカクは、ナルの足元の影を自身の影で繋ぎ止める。
ナルの動きを止めたその術は、彼女もよく知る術。
シカマルが【影真似の術】と呼んでいる、奈良一族秘伝の【影縛りの術】。
「ひとりで行かせるわけにはいかねぇ…どうしても行くってんなら、」
奈良一族の当主であり、シカマルの父親である奈良シカクは、単身、敵の居場所へ向かおうとする無謀な子どもの影を我が身の影で縫い付けた。
「俺らを倒してからにしてもらおうか」
シカマルの父である奈良シカク・いのの父である山中いのいち・チョウジの父である秋道チョウザ。
突如として立ちはだかる元祖・猪鹿蝶を前に、波風ナルは途方に暮れたかのように立ち尽くした。
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