青空の下での奇襲
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な選手がお前みたいな有名な剣神に覚えられていて光栄だぜ」
「ほぅ、まだ一戦しかしていないのに、俺の知名度は一気に変わったようだな」
「他は知らねえが、こっちじゃ有名だぜ? うちの西国無双を打倒した剣神とその剣、八俣ノ鉞ってな」
「……あ?」
全く聞き覚えがない名前に熱田は本気で訳が解らないという反応をして、一歩前にである。
そして、そのまま顎の動きで、続きを促させた。
続きを促させられた隆包の方も、苦笑しつつである。
「大したことはねえよ。お前が、その剣は自分の大罪だとか抜かすじゃねえか。だから、こっちでは名無しでは面倒だから、そこから取って八俣ノ鉞だ」
「……あーあー成程成程」
そういう事かと頷く熱田に、苦笑を取りつつ、距離を測る隆包。
「八俣はつまり、八岐。八岐大蛇をお前の熱田神社のスサノオ信仰から、取ったお前の罪を現したものとし、鉞は罪人の首をはね、王権の象徴とされる物。そして、お前が剣を振るう理由が王。だから、八俣ノ鉞───つまりは、お前は罪と言う名の王権を現す剣を振るう処刑人って事だ」
「……別に処刑人になったつもりはねーんだけどよぉ……」
溜息を吐きながら、しかし、答えは理解している。
単純な皮肉だろう。
失わせないという信念の元で戦っている自分に処刑人という真逆の名称を与えるという皮肉。
嫌われてやがると思うが、まぁ、三征西班牙からしたら自分の西国無双を倒した憎い奴だから仕方がないと言えば、仕方がない事である。
「……まぁ、変な名前じゃないから、今後使わせてもらうかね」
人生憎んで、憎まれるが当たり前の真理なのであると心の中で深く頷きながら、体を何時でも動かせるように体から力を抜く。
相手もそれに対応して、帽子を深く被り直してから、バットをバント姿勢で構えている。
笑顔は苦笑と疲れたような顔だったそれから、一気に獰猛な笑顔に切り替わる。
周りも、それを察知して両方が副長から離れる。
特に熱田からは離れなければ巻き込まれるというのは、皆が周知の事実である。
ちなみに本人は敵味方関係なしにぶった斬る気満々である。
「───お前とは一戦やり合いたかったんだよ弘中・隆包。副長の癖に、戦術は防御に徹した攻撃特化の副長とは逆の在り方で戦う強打者───俺の攻撃がどれくらいのレベルかを世界に示せるチャンスじゃねえかよ」
「抜かせよ小僧。こちとら、年長者だぜ? 敬えよ。と言いたいところだが、その点は同感だ。俺の地味な戦法がどのくらいお前に通じるかどうかは個人的に試してぇ」
「それは光栄だぜ」
と
言った瞬間に熱田は知覚外に消えた。
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