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神々の塔
第七十五話 焦る気持ちその一

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                第七十五話  焦る気持ち
 一階一階進む中でだ、シェリルは言った。
「あと少しやと思うと」
「焦るな」
「はよ終わらせようと思ってな」
 隣にいるリーに応えた。
「そうなるわ」
「私もや」
 リーは自分もだと答えた。
「そう思う様になってるわ」
「そうは見えんとは言わんわ」
「わかるやろ」
「長い付き合いや」
 リーに微笑んで告げた、今の階は筏で水路を進んでいる、その筏の上で敵を警戒しつつ話しているのだ。
「起きた世界でもよお話すし」
「こっちの世界やと尚更やな」
「こっちの世界の時間では二十年以上一緒にやってるやろ」
「南洋統一からやと三十年か」
「それ位一緒におるさかいな」
 それでというのだ。
「もうな」
「わかるな」
「ああ、焦ってるな」
「その気持ちをや」
 逸るそれをというのだ。
「何とかな」
「抑えてるな」
「焦ってもや」
 例えそうしてもというのだ。
「一階一階や」
「進むしかないな」
「そして焦って足を速めても」
「かえって警戒心が緩んでな」
「こうしてや」
 水路から飛び出てきて襲い掛かって来た魚達を錬金術の霧を出してそれでまとめて倒してから話した。
「出て来る敵にもな」
「対処に遅れが出るわ」
「そうなるわ」
「罠への警戒もおろそかになるしな」
「そっちも怖いわ」
「罠はな」
 これはというのだ。
「ほんまな」
「常にあるな」
「この塔は」
 これまでのことでよくわかっていることである、伊達にここまできたわけではないのだ。
「ほんまな」
「若しや」
 芥川は周囲の罠に警戒しつつシェリルに話した。
「焦ってええことがあるんやったらな」
「焦ってええな」
「幾らでもな、しかしな」
 それでもというのだ。
「実際はな」
「焦ってもな」
「何もないわ」
「かえって失敗するだけや」
「周りが見えん様になってな」
「冷静さを失えば」
 その時はというのだ。
「負ける」
「その時点で」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「焦りは禁物や」
「あと少しでも」
「イギリスのホラー映画なんかな」  
 芥川はこちらの話もした。
「あとちょっとのとこでな」
「ゴール間近でな」
 まさにその時にというのだ。
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