第百三十六話 閉会式の前にその十二
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「一華ちゃん達はね」
「それならね」
「そう思っていいのね」
「ええ、けれど友達がいなくても」
それでもというのだ。
「本人さんがいいっていうなら」
「それでいいわね、そしてその時お友達いなくても」
留奈は一華の言葉を心の中で反芻しつつ彼女自身に話した。そうしていると言葉が心に刻まれるのを感じた。
「努力していたら」
「神様がお引き寄せしてくれるわね」
「そうよね」
「ええ、そしてね」
一華は留奈にも話した。
「いい人はいい人で集まって」
「悪い人は悪い人で集まるわね」
「和して同ぜず、同じて和せずで」
「だからお友達いなくても」
「悪い人の方に行ったらね」
「駄目ね」
「自分も悪くなるから、大体」
一華はさらに言った。
「嫌な連中と付き合うとかね」
「お友達いなくても」
「何がいいのよ、一人でも何かしないといけない時もあるでしょ」
「お友達いなくても」
「中二の頃だった?何かの本で書いてあったのよ」
「一人でも何かしないといけない時があるって」
「そうした時があるってね」
その様にとだ、一華は留奈に話した。
「書いてあったの」
「そうだったの」
「その本を読んでから」
それからというのだ。
「私もそうじゃないかしらってね」
「考える様になったの」
「ええ、友達いなくてもね」
「一人でも何かしないといけない時がある」
「英雄と呼ばれる人が一人の時に怯んだか」
「怯まないわね」
「それこそ一人でもやってやるって」
その様にというのだ。
「考えてね」
「やるのね」
「一人でも、それがどれだけ辛い状況でも」
「やるっていうのね」
「英雄って呼ばれる人は」
「そうするのね」
「そうね」
理虹も言ってきた。
「英雄がお友達いないから何もしないとか」
「言わないわね」
「凄い人はね、例えばね」
理虹はさらに言った。
「ベートーベンさんとか」
「あの人ね」
「一人じゃないから作曲しないとか」
「言いそうにないわね」
「絶対にね」
ベートーベンがそうした人間でなかったことは彼の伝記を読めばわかるだろうか、それどころか彼は孤独であったという。
「言わなくて」
「一人でも作曲して」
「やり遂げるわ」
「そうよね」
そしてというのだ。
「あの人は」
「お友達がいなくても」
「そんなことを気にしなくて」
「やるから」
「そうよね、何ていうか」
それこそというのだった。
「ベートーベンさんはそうね」
「何もなくても」
それでもというのだ。
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