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第百三十六話 閉会式の前にその一

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                第百三十六話  閉会式の前に
 遂に運動会の全種目が終わった、その最後の競技が終わると一華は大きく背伸びをしてからかな恵達に言った。
「じゃあいよいよね」
「最後の最後のね」 
 かな恵が応えた。
「閉会式ね」
「これが終わったらね」
「もうお家に帰って」
「今日は部活もないし」
「打ち上げね」
「それぞれね、私もね」
 一華は笑って話した。
「達川君とね」
「打ち上げするの」
「いや、私はデートよ」
 そちらを行うというのだ。
「団地までね」
「下校ゲートね」
「それするわ」
「そうなのね」
「打ち上げはね」
 これはというと。
「今日はしないわ」
「どうしてなの?」
「今日お父さん帰り遅いのよ」
「おじさんが」
「達川君お家に入れる時は」
 その時はというと。
「お父さん自分もいないと駄目だってね」
「言ったの」
「お母さんとね」
「ああ、何かあったらいけないからって」
「達川君変なことしないって言ったけれど」
 それでもというのだ。
「お父さん男の子は男の子だって」
「何するかわからない」
「そう言ってね」
 それでというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「お父さんとお母さんがいないと」
「達川君お家に入れられないのね」
「それだとね」
 今度は富美子が言ってきた。
「達川君のお家に行ったら?」
「同じ団地だし」
「そうしたら?」
「それは達川君が駄目って言ってるの」
 彼がというのだ。
「男の子の部屋に女の子が入るなんて」
「駄目だって言ってるの」
「そう、絶対に駄目だって」
 その様にというのだ。
「行ってね」
「それでなのね」
「彼のお家にはね」
「行けないの」
「私はいいって言ったのに」
 それでもというのだ。
「何があってもね」
「その辺り真面目ね」
「真面目過ぎるでしょ」
「おじさんもで」
「達川君もね、はっきり言って似てるわ」 
 一華は目をやや座らせて口を軽いへの字にさせて言った。
「お父さんと達川君って」
「異様に真面目なところが」
「そこがね」
 まさにというのだ。
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