第二十七話 実家に着いてその十
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「そうだからね」
「決まったら言うな」
「そうなの」
真昼はワインを飲みつつ応えた。
「私にもあるの」
「実は最近になってな」
「そのお話が出てね」
「それでな」
「決まりかけてるからね」
「そうなのね。相手はどういった方かしら」
首を傾げさせてだ、真昼はこうも言った。
「一体」
「実はな」
秀樹は一呼吸置いてから真昼に話した。
「真田家の方なんだ」
「真田家なの」
「そうだ、真田家のどなたかはな」
「わからないの」
「ああ、けれどな」
「私も許嫁の人が出来て」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「お前もそうするんだろうな」
「大学を卒業してね」
そしてとだ、真昼も言った。
「就職して落ち着いて」
「真昼もそうするんだな」
「やっぱりね」
鱚の天婦羅を一口食べてから言った、天婦羅は他には海老に烏賊、椎茸、山菜といったものがある。
「そこはね」
「夜空と同じか」
「同じ考えなのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「変わらないわ」
「じゃあ待つか」
「そうね」
上の娘の言葉を受けて夫婦で話した。
「悪いけれどね」
「残念だな」
「そうね」
二人は真昼の話も聞いて顔を見合わせて話した。
「真昼は六年ね」
「夜空は七年だな」
「それだけ待つわね」
「これはな」
「そうするしかないわね」
「大学を卒業して就職してな」
「それから一年位経って結婚して」
そうしてというのだ。
「それから最低でも十ヶ月」
「本当に六年か七年だな」
「それだけ待つしかないわね」
「仕方ないな」
「そして若しかして」
「出来ないこともあるしな」
「子供は授かりものよね」
まだ許嫁は話が出たばかりの真昼はその分気が楽なのでここで両親に言った。夜空は静かに味噌汁を口にしている。
「神様からの」
「そうよ」
母がその通りだと答えた。
「もうね」
「子供っていうのは」
「欲しくて生まれる時もあればね」
「欲しくても生まれない時もあるわね」
「まさかっていう時に生まれることもあるのよ」
「そこは人ではわからないのね」
「そうなの、あんた達もね」
真昼も夜空もというのだ。
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