第二章
[8]前話
叔父夫婦の家で暮らす様になった、二人はとても優しく穏やかで彼女も平和な生活に戻った、それこそ義父が家に来る前の様に。
そうして大学にも進学したがその時にだった。
「お母さんが」
「ああ、あいつの暴力でな」
「頭打たれて死んだらしいわ」
叔父夫婦は命に話した。
「それであの人は警察に逮捕されたわ」
「他にも色々やっててな」
「かなり重罪になるそうよ」
「前科も幾つもあったし糖分出られないな」
「そうなのね、最低な奴だったわね」
命は話を聞き終えてからこう言った。
「つくづくね」
「全くだな」
「働かないで暴力にギャンブルに女遊びに」
「酒飲んでばかりでな」
「最低だったわね」
「そして最低な奴から逃げてな」
「命ちゃんよかったわ」
二人で姪に話した。
「若しあのお家にずっといたら」
「そうなっていたかもな」
「そうね、私あんな奴とは一緒にならないわ」
命は過去の叔父夫婦の家に逃げるまでのことを思い出しつつ言った。
「幸いうちには来なかったけれど」
「そのことはよかったな」
「本当にね」
「そして本当にな」
「ああした人とは絶対に一緒になったら駄目よ」
「ええ、お母さんみたいになるからね」
殺された母のことを思っても言った、だが娘の自分を身代わりにしようとさえした母に何の愛情も持っていなかった。
「そうするわ」
「そうだ、最低な奴はいるからな」
「そうした人とは一緒にならないでね」
「絶対にね」
自分から言った、そうしてだった。
命は実際に義父の様な輩には気を付けて関わること自体を避けた、そうして普通と言われる人を彼氏にして結婚もした。そのうえで幸せな家庭を築き今では義理の両親ともなった叔父夫婦とも仲のいいままでいられた。尚義父は出所後酒で身体を壊して死んだと聞いた、惨めに夜の街で野垂れ死にしたと。
最低な奴のサンプル 完
２０２４・７・２４
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