第一章
[2]次話
最低な奴のサンプル
母が再婚して家に来た加藤豊は最低の輩だった、働かず家で酒ばかり飲みギャンブルや女遊びに精を出し。
家族に日常的に暴力を振るった、それで命かつての姓を野村といった彼女は家を出て信頼している親戚の家に転がり込んで言った。高校生になったばかりで黒髪をショートにしていて大きな猫を思わせる目に小さい頭とやや波がかった唇と白い肌を持っている。背は一六五位で胸が大きく脚がすらりとしている。
その彼女の話を聞いてだ、親戚の叔父夫婦は深刻な顔で言った。
「噂は聞いていたけれど」
「酷いわね」
「逃げて正解だったな」
「ええ、そんな人からね」
「あの、私とりあえずアルバイトして」
そうしてとだ、命は叔父夫婦に二人の家の中で話した。
「学費稼ぎながらね」
「学校通うか」
「そうするの」
「高校は出た方がいいし」
それでというのだ。
「それでアパートも探すから」
「いや、それならうちで暮らせばいいから」
「丁度命ちゃんの学校から近いしね」
叔父夫婦は真剣な顔で言う姪にこう告げた。
「丁度息子も就職して一人暮らしはじめて部屋も空いている」
「学費も出すわよ」
「いいわよ、ここには一時逃げ込んだだけだし」
命は遠慮して返した。
「別にね」
「何言ってるんだ、まだ高校生だぞ」
「そこまですることないわよ」
「わし等も働いてるしな」
「そうしなさい」
「そう言ってくれるの、お母さんもう完全にあいつに怯えて縮こまって自分が殴られるより私を代わりにいって言う位だし」
命はそれでと話した。
「もうこれは駄目だって思って逃げたけれど」
「正解だ、もう戻ったら駄目だ」
「うちで暮らしなさい」
「あいつ等が来ても追い返す」
「私達に任せて」
「そう言ってくれるなら」
それならとだ、命は頷いた。そうしてだった。
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