第105話 憂国 その5
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るが!」
「後は必要性と相当性ですかね!」
とどめを刺すべくスタンガンを振り上げ突っ込んできた団員に対し、俺は右半身になって躱しつつ反動をつけて右拳を団員の左顎先にぶち当てる。マスクは吹き飛び、団員は糸が切れた操り人形のように音を立てて床に崩れ落ちた。同時にスタンガンも高い音を立てて床を撥ねる。
「さて。憂国騎士団の諸君」
凝った首を廻す音と共に、頭の中でひたすらドヴォルザーク交響曲六番第三楽章がリフレインされる。今の俺には脳味噌も良識の欠片もないが、戦闘力数は間違いなく五三万。会場の通路は宇宙艦隊司令部地下駐車場のように広くはないから、二人以上で同時に襲いかかられる恐れもない。
「君達に与えられる合法的な未来は二つ。ソーンダイク先生の言う通り着席し議事進行に従って礼儀正しく意見を述べるか、これ以上何もせず速やかにこの会場から出ること」
会場の出入口を指差すが、釣られて真後ろに視線を動かすような団員はいない。リーダーを初めとしてなにも言わずに俺を睨みつけたまま。仕草も意志も単純明快で、現在の職場での慣れない暗喩や無能さゆえの錯誤に心が疲れた俺としては、すっきり晴れやかで快感すら覚える。
「もし聞き入れず君達が、再び武力行使を選択するというのであれば致し方ない。適切な手加減は出来そうにないが、それでも良ければ『教育』してやろう」
出入口を指差していた人差し指をしまい、腕を時計回りで捻り手の甲を向け、その隣の指先を垂直に天井へ向ける。事前の取り決めも暗号も必要ない、言葉の通じない相手にもハッキリと意思が伝わる古(いにしえ)からの『挑戦信号』。もちろん効果はバツグンだ。
リーダーの左後ろにいた団員が下卑た叫び声を上げてスタンガンを突き出しながらに突っ込んできたので、クロスカウンターよろしく前屈みになってから、右拳に体重をのせて左脇腹に叩き込む。
屈んでいる状態になっている俺に対し、リーダーはスタンガンを再び振り下ろしてくるが、それを背中に躱しつつ、↓?→でリーダーの下顎を真下から思いっきりカチ上げる。
その後ろに並んでいる団員がリーダーを躱しながら狭く横二列で突っ込んできたので、左の団員に向けてはKO状態のリーダーの腹のど真ん中にヤクザキックをぶち込んで押し戻し、振り向きざまにリーダーの手から?ぎ取ったスタンガンを右の団員の左後頭部に力いっぱい叩き込む。リーダーの身体に覆いかぶさられて身動きの取れない左の団員の肩を露出させてスタンガンを皮膚に跡が付くくらいに押し当てて、最大出力で電撃を喰らわせる。
通路ではなく左右に並ぶ机の上を歩いて覆いかぶさってきた奴には、右足を掴んで無理やり飛び出した側とは反対側の机の角とキスをさせてやる。
次々と襲い掛かってくる団員から時折軽い一撃喰らいながら
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