第七十四話 まだ道半ばその一
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第七十四話 まだ道半ば
遂にだ、一行は塔の九割を踏破した、綾乃はそうなったことを確認してから満面の笑顔で仲間達に言った。
「あとちょっとやね」
「あと一割やな」
「残ったのはな」
「長い道のりやと思ったけど」
中里と芥川にそれでもと話した。
「遂にやね」
「残り一割」
「それだけになったな」
「そう思うと」
それこそというのだった。
「感慨あるわ」
「そやな、けどな」
芥川は笑顔で語る綾乃にこう返した。
「まだや」
「残り一割あるね」
「そやからな」
「まだ安心出来んね」
「道半ばや」
そうだというのだ。
「まだな」
「そうやね」
「それでや」
「喜んでもやね」
「本当に喜ぶのはな」
それはというのだった。
「踏破してからや」
「ほんまその時やね」
「踏破してこそな」
「終わった」
「そして喜ぶもんでな」
そうであってというのだ。
「あと一割な」
「進んで」
「そうしてから皆でな」
「喜ぶことやね」
「本当にな、そういうことで」
「さらに先進むんやね」
「そうしよな、しかし」
ここでだ、芥川は。
周りを見回してだ、即座に三光手裏剣を周囲に放ってだった。自分達を囲んで攻めようとしたインカの高位の戦士達を見て言った。
「やっぱり敵は出て来るな」
「それが試練ですから」
「だからこそです」
倒された戦士達は平伏して言ってきた。
「我々はこうしてです」
「戦を挑ませて頂きます」
「皆様がこの塔におられる間」
「試練の一つとして」
「そうさせて頂いています」
「そやねんね、しかし」
それでもとだ、綾乃は話した。
「皆その鎧ええね」
「そう言って頂けますか」
「鎧について」
「ジャガーの毛皮を」
それをというのだ。
「全身に包んで」
「それが我等の鎧です」
「革の鎧ですが」
「ですがそれでもです」
「少し違う鎧です」
「普通の革の鎧とは」
「そうやね、恰好ええわ」
綾乃は笑って話した。
「何時見ても」
「兜もな」
芥川はそちらの話もした、見れば豹の頭の口の部分から顔を出している。そうした造りの兜であった。
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