第二章
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そして愛情に満ちた声をかけて撫でてブラッシングをしてだ。二人で文字通り猫可愛がりをしていた。リリーが何をしてもだ。
両親は怒らなかった、猫であるので我儘で尊大でいつも家でふんぞり返りやりたい放題であったがだ。
決して怒らなかった、そしてそんな両親を見つつだ。
子供達はやれやれと思いながらも自分達もリリーを可愛がった、そうしてだった。
姉妹は成人し就職してだ、俊一も中学生になったが。
「リリー新しいおもちゃ買ってきたぞ」
「ブラッシングしてあげるわね」
「ニャア」
両親は相変わらずだった、それでそれぞれ今は一人暮らしをしている英美里と沙織里は家にいる弟に尋ねた。
「お父さんとお母さん相変わらずね」
「リリー可愛がってるのね」
「そうだよ、いつもね」
弟は二人にその通りだと答えた。
「ああしてだよ」
「やっぱりね」
「そうしてるのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「変わらないよ」
「そうよね」
「本当にリリー好きなんだから」
「けれどそのせいで」
弟は姉達に話した。
「お父さんもお母さんも笑顔でね」
「機嫌よくてね」
「明るく暮らせてるわね」
「僕にも懐いてるし」
リリーはというのだ。
「だからいいよね」
「ええ、人の誰か贔屓するより」
「猫贔屓する方がずっといいわね」
「猫はそうすべき生きものだし」
「だからね」
「いいと思うよ、リリーもお婆さんになったけれど」
それでもというのだ。
「元気だしね」
「じゃあいいわね」
「お父さんとお母さんもこのままで」
「いいと思うよ」
こんなことを話した、そしてだった。
姉妹は実家で自分達もリリーを可愛がった、リリーは今は実家にいない二人にも昔のまま懐いていた。後日リリーの尻尾が二本になり喋る様になって両親はこれならずっと一緒にいられると喜んだがそれはまた別の話である。
お猫様の家 完
２０２４・７・２１
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