暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第211話:非情にして無情
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思わず耳を片方塞いだ。

「この音は……!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ヴァネッサ達が見ている前で、男の体の内側からも光が漏れ出る。光はまるで男の体が罅割れていくようにあちこちから零れだし、遂には男の体は耐えきれなくなったように爆発した。その爆発の威力は見た目以上に凄まじく、腕輪起動の為の設備も何もかもを破壊する程であった。燃え上がる炎に消火設備が起動し、けたたましいベルの音が鳴り響く。

 その中で、訃堂は感嘆する様にその様子を見ていた。

「神の力……簡単には扱わせぬか? だが、次の手は既に打っておる」

 何やら意味深な事を口にする訃堂であったが、ヴァネッサ達はそれどころではなかった。あの装置は結界の意味も兼ねていた。この施設や、腕輪の存在を魔術的に隠し追跡を免れる為のシェルターの役目を果たしていたのだ。それが今、破壊された。それはつまり、S.O.N.G.にこの場所がバレたと言う事を意味している。

「ディーシュピネの結界が……!」
「連中が駆けつけて来るゼッ!」

 ヴァネッサとミラアルクは即座にこの場を離れる事を考えていた。最早一刻の猶予もない。敵ながらにS.O.N.G.の索敵能力の優秀さを認識している彼女らからすれば、今のでこの場所は見つかったと見ていた。

 そんな中で、エルザは冷静であった。

「提案があるであります。この場所を隠し、連中の追撃からも逃れる手が……!」

 そう口にするエルザの手には、アルカノイズの召喚結晶が握られている。彼女は手早くヴァネッサとミラアルクに自身の提案を説明した。

 それを傍目に見ながら、ワイズマンはオーガ共々その場を後にするのだった。
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