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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第211話:非情にして無情
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訃堂は腕輪から目を離さず口を開いた。
「お前の役目は他にある」
そう言って訃堂が連れて来させたのは2人の黒服を着た男。そう、先日埠頭にてミラアルクとエルザの2人に稀血の入ったケースを持ってきた男達だった。2人は両手を頭の後ろに組んだ状態で、背後から拳銃を突き付けられながらやって来た。
辛うじて記憶に残っていた2人の登場に、エルザも思わず目を丸くした。
「あの時の人達で、ありますか?」
「片付けよ。遣いも果たせぬ木っ端共!」
つまりは後始末だ。失敗した者は容赦なく切り捨てる。ワイズマンも非情だったがこの男もまた非情だった。
人殺しを強要されている事に、手を解放されたミラアルクが顔を顰める。束の間の逡巡、だがそれも次の瞬間には冷たい殺意に変わるかと思われた。
しかしそこでそれまで黙っていたワイズマンが声を上げた。
「そう言う事ならこちらに任せてもらおうか」
「何?」
「オーガ、やれ」
訃堂がワイズマンの真意を問い質す前に、ワイズマンがオーガに指示を出した。その瞬間オーガは鎖を外された猟犬の様に駆け出し、左肩から右腰に掛けて斜めに走る大口を開けて男の片方に飛び掛かり頭から丸呑みにした。
「ひぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
頭から食らい付かれて丸呑みにされる男の悲鳴が響き渡る。人間が死ぬ様などこの世には多数あれど、頭から丸呑みと言う死に方は早々目にするものではない。悲鳴を上げて足をバタつかせながら飲み込まれていく男の姿はショッキングであり、男を始末する為に覚悟を決めていたミラアルクも今はその光景に恐怖し目を見開き込み上げてくる吐き気を堪えるので精一杯だった。
「う……!?」
胃の中から戻ってくるものを手を抑えて堪えている間に、オーガは男の1人を完全に飲み込んだ。男の悲鳴が収まると、代わりにオーガの大口からはゲフッと血の匂いの混じった吐息が零れる。
「ん、ぷぅ……フン、ただの人間じゃあこの程度か。まぁもう1人居る事だし、良しとするかな」
「ひ、ひぃぃゅ!? 怪物めっ! 怪物共めぇぇッ!?」
残る一人はこのまま食われてなるものかとその場を逃げ出した。背後から銃撃を受けながらも駆けた男は、台座に置かれていた腕輪を手に取り自らの腕に装着した。
「あっ!」
「ッ!」
「このまま殺されてなるものかッ! 殺されるくらいなら、コイツでぇッ!」
それはある種の賭けだった。このまま何もしなければ、オーガに食われて確実に死ぬ。そんな死に方をするくらいなら、どんな目に遭おうが未知の力を持つ腕輪の力で生き延びる可能性に賭ける。
男が腕輪を装着した右腕を掲げると、腕輪から光と共に不協和音に近い音が鳴り響いた。不快さすら感じさせるその音に、ヴァネッサも
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