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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第211話:非情にして無情
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て、新たな器に明け渡すのが賢明というものだ」

 ジェネシスの魔法使いにとって、新たな器とは即ちファントムの事を示す。そう、嘗てヒュドラや最初のメデューサがそうであったように、ワイズマンはさっさと人間の魔法使いとしてのオーガの命を終わらせ、ファントムとして再誕させようと言うのである。

 幾ら敗者とは言え、元は己の配下であった者に対する非情にして無情な仕打ちを目の当たりにし、ノーブルレッドの3人は思わず恐怖し身を寄せ合って震えていた。
 そんな彼女達の前で、遂にオーガの人としての命の灯が燃え尽きる。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 一際大きな悲鳴を上げたかと思うと、オーガの体が罅割れ砕け散る。そして後には、左肩から腰に掛けて斜めに走る大きな口を持つ異形の存在、オーガファントムが残されていた。
 生まれ落ちたオーガファントムは、ゆっくりと体を起き上がらせ魔法使いと言う殻から飛び出た己の姿を見下ろす。

「う、ぁぁ……ん〜…………」
「おはよう、オーガ。気分はどうかね?」
「最高です……ワイズマン様」

 嘗ての配下が異形の物となったにもかかわらず、ワイズマンは変わらぬ様子で話し掛ける。対するオーガも、姿形は変わりながらもワイズマンに対しては敬う姿勢を崩さない事に、一見すると変わったのは外見だけで中身は何も変わっていないのではないかと思わせた。

 しかし…………

「ワイズマン様……腹が減りました。何か、良いものはありませんか? 例えば……」

 そう言いながらオーガはノーブルレッドの3人に目を向ける。表情の分からない異形の顔だが、その視線からは明らかに彼女達3人を食料でも見るような捕食者としての視線を感じた。その視線を前にヴァネッサ達は胃が縮むのを感じ、思わず後ろに後退りしそうになる。
 だがそれをメデューサが背後から押さえた。何時の間にそこに居たのか、メデューサはノーブルレッドの3人を後ろから押す様にして前へと歩かせ、その勢いで3人はその場に崩れる様に倒れ込んでしまった。

「あぅっ!?」
「い、つつ……」
「ひっ!?」

 3人が倒れた丁度目の前に、オーガが立ち塞がる。左肩から右腰に掛けて走る大きな口は僅かに開かれ、牙の覗く口からは涎が垂れていた。今にも頭から丸呑みにされそうなその迫力と悍ましさに、エルザは目に涙を浮かべて這いずる様に下がるも直ぐにメデューサの足にぶつかりそれ以上下がれなくなる。

 恐れ戦く3人に、オーガは手を伸ばす。それに対しヴァネッサは咄嗟に2人の前に出て両手を広げながらワイズマン達に抗議した。

「待ってくださいッ! これでは話が違いますッ! 私達はまだ……!」
「お前達の不始末の所為で、オーガがこうなったと言うのに?」
「それは……!?」

 ヴァ
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