暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
これをデートと呼ぶかは以下略
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
しいね、ここ」
 何となく私は口にした。根拠などはない。強いて言えば、ずっと旅をしてきて祠や洞窟を冒険して得た経験から来る勘だ。
「そう? 何処にでもありそうな洞穴に見えるけど」
 一方のルークは特に興味も持たずに答える。けれど私はこの洞穴の先がどうしても気になり、ナギからもらった地図を開いて確認してみる。
 だが、彼が描いた地図は大雑把で、何度見ても町の東側の方に洞窟がある、というようなことしか判別できない。
「ちょっと、行ってみてもいい?」
 私の思い切った提案に、ルークはぎょっと目を剥いた。彼もナギの地図を一緒にのぞき込んで見ていたが、まさか本当に入るとは思わなかったのだろう。
「本当に? ここに行くの?」
 ルークが疑わしい目で私に尋ねる。
「なんで、って言われると根拠はないけど、なんとなく目的の洞窟はここのような気がするんだ」
「でも、間違っていたらどうする? ここで時間をとられるわけには行かないよ?」
 彼の言葉に、私は空を見上げた。確かに今ここで寄り道をしたら、三人の処刑に間に合わないかもしれない。けれど、ここを無視して先に何もなかったら? そっちの方がはるかに時間と労力をとられる。それなら、様子を見るだけでもここを調べた方がいいのではないか。何より、自身の第六感がここを調べた方がいいと告げているように聞こえる。
「……うーん、はっきりとは言えないけど、様子見だけでもしたいな。すぐ戻ってくるからルークはここで待っててよ」
「それはダメだ。僕も行く」
 きっぱりと即答され、結局ルークと共に洞窟の中に入ることにした。



 どうやらこの穴は偶然出来たもののようだ。度重なる地震と地殻変動で複雑な地形となったこの洞窟は、おそらく私たち人間には及びもつかないくらい永い年月をかけて作られたものなのだろう。その自然の脅威に圧倒されながら、私たちは黙々と奥へと進んでいく。やがて光が届かなくなり、ランタンに灯をつける。次第に地下へと続いていることに、歩いている途中で気がついた。
 時おり上を見上げると、天井に岩でできた無数のトゲのようなものが生えている。ルークによると、これは『鍾乳洞』というらしい。
 洞窟の広さは次第に広くなっていった。人一人通れるほどの広さだったのが、今では四、五人が余裕で動き回れるほどのスペースが出来ている。かといって意味もなくうろちょろする気はないが、こんなに広い洞窟は珍しいので、興味深く辺りを見回してみる。こんなに広くては、気になって様子見どころではない。
「ん? 何だろう、あれ」
 そんな中、少し離れたところに湖を発見した。傍に来てルークがランタンを照らすと、天井一面を映し出すほどの澄みきった水面が照らし出された。水質の影響か、はたまた周囲の岩壁自体の材質のせいか、湖面から淡い光が放たれて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ