アインクラッド編
回想――出会い
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発した。
キリトのレベルが高いことは今の一撃で判断できたのだろう。
「は、はいっ!」
両手棍使いはパーティーメンバーに戦線指示に徹するように指示を出した。
「ありがとうございます!」
「礼は後だ。今は目の前に集中してくれ」
言い終わるやいなや、キリトはダメージを無視して特攻。数秒で残りのゴブリンも仕留めた。
そのままダッシュでパーティー前方に躍り出た。
前衛で1人奮戦していたメイス使いの男に向けて「スイッチ!」と叫び、無理矢理入れ替わってモンスターの前に飛び出した。
目の前に5,6体いる敵は全て、先ほどまでキリトが一撃で倒し続けていたゴブリン型モンスター。
本当は適度にダメージを与えるだけに留まり、経験値ボーナスのかかるラストアタックは譲るべきだっただろう。
が、すでに前衛のメイス使いはHPを注意域に落として、ほかの4人も似たり寄ったりだった。
キリトは緊急事態だから仕方ないだろう、と考え、上位ソードスキル発動のライトエフェクトを片手剣に纏わした。
30秒もかからずにそのパーティーの窮地をあっさりと救ったキリトは、すぐさま後悔に襲われた。
やってしまった、と。
前述したとおり、下層で圧倒的レベルを保持しているプレイヤーが大きい顔をするのは非マナー行為だ。
最前線ではお互いを助けるのは礼いらずの暗黙の了解として成り立っているので、素気ない受け答えで倒したが、ここは最前線などではなく、中層ゾーンなのだ。
彼らの目に自分の姿がどう写ってしまっているのか、などと考えもしなかった。
しかしキリトのそんな不安を打ち消すように、ありがとう、と5人が一斉に口を開き感謝の意を述べてきた。
どうやら、キリトが攻略組プレイヤーであることまでは分からなかったようだ。
「いや、別に良いよ」
半年も経てば、低いトーンの男口調で話すことにもだいぶ慣れてきていたので、誰にも怪しまれることは無かった。
だが、安堵したのも束の間、
「その真っ黒なコートにマフラー姿に盾無しの片手剣・・・・・・」
短剣使いの男が奥深くにある記憶を引っ張り出してこようとするかの如く、首を振り数秒後、
「あっ・・・・! もしかして、あんた〈黒の剣士〉!?」
と、叫んだ。
それにはキリトもかなり動揺した。
〈黒の剣士〉、とは真っ黒装備で統一している自分に誰かが勝手に付けた2つ名だ。
その名は攻略組であることが露見してしまったことを意味していた。
「え・・・・と、まあ、そうだけど・・・・・・」
と、情けない声でキリトは答えた。
〈黒の剣士〉は攻略組プレイヤーであることだけでなく〈悪の黒ビーター〉であることも意味している。
キリトは彼らの目に自分のことをビーターとして蔑む色が浮かぶことを
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