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金木犀の許嫁
第二十六話 里帰りをしてその十

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「それにです」
「バッシングもですね」
「あって最悪です」
「石を投げられて」
 そうしてというのだ。
「命の危険もですね」
「ありますので」
 それ故にというのだ。
「私はです」
「無理ですか」
「まあそもそも」 
 幸雄はここで笑ってこうも言った、
「私は俳優にはです」
「なれないですか」
「ああした派手な世界は」
 芸能界はというのだ。
「向いていません」
「そうですか」
「そう考えていますので」
 だからだというのだ。
「今のお仕事が向いていますし」
「芸能界はですか」
「昔からです」
「興味はないですか」
「はい」
 そうだというのだ。
「実は」
「そうですか」
「興味があるのは」
 それはというと。
「今のお仕事です」
「そうなんですね」
「はい、そして」
 さらに言うのだった。
「自分の趣味です」
「そちらですね」
「ですから」
「芸能界はですか」
「昔からです。八条グループは芸能事務所も経営していますが」
「私達の学園を運営している」
「あちらの事務所は健全ですが」
 そうであるがというのだ。
「よくない事務所もです」
「ありますね」
「元々芸能界は裏の世界ともです」
「ヤクザ屋さんですね」
 裏と聞いてだ、真昼はこう返した。実は昭和を代表する歌手にしてもとある組の組長の事務所に所属していたのだ。
「関り深かったんですね」
「その系列の事務所もです」
「あったんですね」
「映画の撮影もです」
 それもというのだ。
「周りの人が撮影を邪魔しない様に」
「ボディーガードみたいにですね」
「していまして」
 そうであったというのだ。
「何かとです」
「ガードがですね」
「固かったのです」
「そうしたこともあって」
「何かとです」
「芸能界はそっちの世界と関わっていたんですね」
「今はかなりましになった様ですが」
 それでもというのだ。
「ちらほらと聞きます」
「裏の世界との関係が」
「私は裏の世界はです」
「お嫌いですか」
「神戸にいますと」
「ああ、凄い組ありますからね」 
 真昼はまさにと応えた。
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