第三幕その三
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「大変だったしね」
「日本でもね」
「奥さんが実験に申し出て」
「それで失明したりとか」
「大変だったね」
「何かを生み出す、発展するにあたってね」
その時にというのです。
「犠牲が出てしまうこともあるんだよ」
「時としてね」
「医学もそうで」
「麻酔も然りだね」
「むしろ医学はね」
先生は難しいお顔で言いました。
「その発展にあたって」
「犠牲が出た」
「それもかなり」
「そうなんだね」
「そうだよ、このことはね」
どうしてもというのです。
「事実だからね」
「否定出来ないね」
「今に至るまでにどれだけの犠牲が生じたか」
「数多くの犠牲が出たね」
「そのことはね」
どうしてもというのです。
「否定出来ないよ」
「そう考えるとね」
「色々考えてしまうね」
「医学の発展には多くの犠牲も生じた」
「そのことについて考えたら」
「どうしてもね、ただね」
ここで先生はこうも言いました。
「犠牲を忘れないで」
「これからに役立てる」
「それが大事だね」
「医学の発展に」
「そうだよ、麻酔にしてもだよ」
今学んでいることについてもというのです。
「知ることだよ」
「数多くの犠牲が出た」
「そのうえで生み出された」
「そうしたものだってことを」
「そうだよ、そして麻酔がない時代は」
その頃のこともです、先生はお話しました。
「強いお酒を飲んで酩酊させたりね」
「ああ、酔うとね」
「それで痛み感じないし」
「意識もなくなるし」
「動けなくもなるね」
「あと気絶させたりもしてね」
こうしたやり方もあったというのです。
「その間にだよ」
「手術していたんだ」
「そんな風にしていたんだ」
「麻酔がなかった時代は」
「そうしていたのね」
「そうなんだ、人は工夫をするね」
先生は皆にお話しました。
「だからだよ」
「麻酔がないならないで」
「そうしたことをしていたんだ」
「その頃は」
「そうなんだ、ただ凄い人もいて」
先生は強い声で皆に言いました。
「麻酔なくても手術を受けた人もいるよ」
「関羽さんだよね」
「その華佗さんから手術を受けた」
チープサイドの家族がその人が誰か言いました。
「あの人だね」
「麻酔を断ったんだよね」
「それで傷口を開かれて骨を削られて」
ジップは想像するだけで痛そうだと思いつつ言いました。
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