第一部
三月の戦闘 W
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人のカンピオーネを同時に相手するなんて不可能である。
しかも、今回の件は完全にこちら側に非がある。勝手に支配地域に侵入して、喧嘩吹っかけて、追い出そうとしたカンピオーネを殺しているのだ。120%こちらが悪い。この状態では、他のカンピオーネに協力を依頼して、共闘することすら不可能だ。
「あ!アンドレア起きたんだ!ねぇどうしよう!?」
「・・・知るか・・・・・・。」
一気に十歳は老け込んだように見えるアンドレアは、投げやりに呟いた。
「兎に角病院に運ばないと!あ、でもこの空間から出るのって、どうすればいいんだろう!?」
ドニが喚いている中、アンドレアは目を見開いていた。それは何か、信じられない物を見たような表情だった。
「ねぇアンドレア!?話を聞いてる!?」
「ど、ドニ!後ろ、後ろだ!」
ん?と振り返ろうとしたドニは、突然の衝撃で吹き飛ばされた。
「な!?」
途轍もない速度で吹き飛ばされたドニは、ビルの壁に衝突した。流石というべきか、咄嗟に【鋼の加護】を発動していたので大きなダメージは受けなかったが。
「痛〜・・・。一体何が・・・。」
彼は、自分を吹き飛ばした存在を見た。
「あ、ああああああ!」
そこには、五体満足で、腕を組みながら立っている鈴蘭が居たのだ。
「まさか、これくらいで私を殺せるとでも思っていたのか?」
「は、ははは・・・。」
笑うしかない、とアンドレアは思った。恐らく、神殺しになってからこの三ヶ月の間に、蘇生能力を持つ神を殺害していたのだ。そして、それが彼女の命を救った。彼らの運命も救った。
彼女が生きていた以上、最悪の事態は避けられるかもしれない。そこは自分の交渉術次第だが、なんとしても戦争だけは回避してみせる・・・と、この時のアンドレアは安堵しきっていた。
だから、馬鹿の行動を予知出来なかった。
「変だな・・・。確かに切り裂いた筈なのに。手応えも十分あった。もしかして、翔希の『幻覚』みたいに、五感すら騙す催眠系統の権能なのかな・・・?」
ドニは、【斬り裂く銀の腕】を発動し直していた。そして、鈴蘭の元へと歩いていく。
「は?・・・ドニ、ちょっと待て。やめろ!もうこれ以上問題を起こすのは止めてくれ!」
彼の必死の叫びも虚しく、ドニは彼女の元へ辿り着く。
「違うよ。私の権能はそんな能力じゃない。確かに貴方の剣は私を切り裂いた。それは確実。」
「でも、キミの服すら斬れていない。」
ドニが催眠系統の権能かと疑った理由がコレだ。確かに斬った筈の鈴蘭。その時、メイド服ごとバッサリと叩き切った筈だった。なの
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