第一部
三月の戦闘 W
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爆発した。
そうとしか思えなかった。
鈴蘭が言霊を唱え終わった瞬間、彼女の呪力が桁違いに増加したのだ。それまで、銃弾に呪力を込めるなんて非効率的な方法で攻撃していた為に、目に見えて減っていた彼女の呪力は、戦闘開始前が比較にならないほどに増えていた。
「な、何が・・・!」
アンドレアは、呻くことしか出来ない。
常にカンピオーネであるドニの傍にいる彼は、カンピオーネの圧倒的な呪力など慣れきっている。神獣や神々との戦闘の場に居合わせたこともあった。・・・そんな彼の理性が叫ぶ。『こんなことは有り得ない!』と。
今や鈴蘭の周囲は、体に入りきらずに漏れ出した、圧倒的な呪力の奔流により嵐の様相を呈している。あまりの密度によって、物質にまで影響を及ぼしているのだ。地面は陥没し、建物は倒壊する。ただ其処にいるだけで世界を壊滅させる存在。【魔王】がそこにいた。
「何だ!何だコレは!?」
叩きつけられる呪力の壁に抗いながらも彼は分析を続ける。他の仲間は、この呪力の嵐に耐え切れず、吹き飛ばされたり、失神したりしている。それが、アンドレアと彼らのレベルの違いを如実に示している。
確かに、特定の条件で強さを増す権能はあるだろう。例えば、森の神の権能とか。それならば、自身の領域である森にいる場合、それまでよりも強い力を行使できるだろう。・・・だが、
「これ程の力・・・!彼女の権能は一体・・・!」
仮にも同じカンピオーネである。それなのに、ドニが足元にも及ばない程の呪力を放出するなど、一体どういうことなのか、彼には分からない。如何なる権能を以てすれば、こんな奇跡が起こり得るというのだろうか?
その時、鈴蘭から漏れる呪力がより一層激しさを増した。突然の事に対処出来なかった彼は吹き飛ばされ、壁に頭を叩きつける。
「ゴフッ・・・!」
咄嗟に魔術を使って防御したが、衝撃まではどうにもならず・・・彼は気絶したのだった。
「これは・・・不味いかな・・・!」
一方、ドニは必死に鈴蘭からの攻撃に対処していた。より一層激しさを増した銃弾の嵐。それと同時に物理的な圧力を持って襲ってくる呪力の暴風。しかも、銃弾には先程とは比べ物にならないほどの強力な呪力が込められているのだ。それこそ、【鋼の加護】のような防御系の権能じゃ無ければ、例え神々やカンピオーネであろうとも数秒で存在ごとかき消される程の。
実際、彼の体も多数の傷が出来ていた。酷いところでは骨が折れている部分もある。このままでは何も出来ずに敗北すると確信したドニは、自身の最強の権能を行使する。
「ここに誓おう。僕は、僕に斬れぬ物の存在を許さない。この剣は地上の全てを斬り裂き、断ち切る無敵
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