第二章
[8]前話
「悪になってであって」
「自分が直接やったことでなくても」
「そうなってね」
「苦い立場で終わったね」
「結末はね」
それはというのだ。
「そうだったね」
「そうだね、本当にあの展開はね」
「驚くばかりだよ」
「アニメの方も」
今話しているそちらもというのだ。
「手塚治虫が関わっているよ」
「それも積極的にね」
「不眠不休の人だったから」
「それで漫画を描いて」
「アニメも制作していたからね」
「そうだったことは有名だからね」
新内はしみじみとした口調で述べた。
「あの人は」
「そう、それでね」
そうであってというのだ。
「海のトリトンでもだよ」
「アニメの方に関わっていて」
「積極的にね」
「それでだね」
「もうね」
それこそというのだ。
「アニメもあの人の考えが強く出て」
「原作とは別の展開になって」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「あの結末だよ」
「そうだね」
「あの人の知性や思想が出て」
「ああなったね」
「うん、そこまで考えるとね」
「深い作品だね」
「海のトリトンもね」
この作品もというのだ。
「実に」
「原作もそうで」
「アニメもだね」
「全くだね」
「いや、凄い作品だよ」
「また機会があれば観たいね」
「原作も読んで」
そうしたことも話してだった。
二人で海のトリトンから原作者の手塚治虫の話に入った、新内も桶谷もこの人物についてこう言った。
「ただ面白いだけじゃない」
「そこにそうしたどんでん返しも入れる」
「原作とアニメじゃ別展開にもして」
「善悪は逆転することもある」
「その考えも入れるなんてね」
「本当に凄い人だったよ」
こう話したのだった、漫画を変えた異才について。
善悪逆転劇 完
2024・7・20
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