第15話:悪徳勇者とモンスター
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トミューティヒはアムの背中に背を向け、ただひたすら、アムの気が済むのを気長に待った。
(アムの奴……泣いてる?)
グートミューティヒのモンスターボールを握る手が無意識に力が入る。
(ただ戦うだけでは……何も変わらない。もう誰も殺さなくて良いと言う保証を生み出せる何かがないと……何かが)
だが……
悪意に満ちた経験値稼ぎは、グートミューティヒにアムの気が済むのを気長に待つ事を許さなかった。
「ほう。もう貴様を追い抜いていたのか?」
「星空の勇者……マドノ!」
グートミューティヒの前に現れたマドノ一行は、満足気に満面の笑みを浮かべていた。まるでやり切ったかの様に。
足下に広がる惨劇とは真逆の笑顔に、マドノ一行が堕ちる所まで堕ちた事を悟るグートミューティヒ。
「全て倒したのか?この洞窟に居たオーガを全て?」
一方、マドノはグートミューティヒの質問の真意が解らず、わざとらしく首を傾げる。
「なに寝惚けた事を言ってんだ?こいつらを皆殺しにして良いに決まってるだろ」
モンスターの老若男女、性格個性、殺意臆病の区別をはっきりする意思は全く無く、出遭ったモンスターは全て殺して自分の経験値にする事しか考えていないマドノの台詞に、オーガの赤ん坊の惨殺死体を抱きしめる手が無意識に力が入るアム。
「寝惚けてんのは……お前の方だろ……」
対して、マドノはグートミューティヒが未だにモンスターの中にも人間と共存出来ると勘違いしていると勘違いして、わざとらしく悪態を吐いた。
「お前まさか……人間のクセにモンスターに味方してるのか?これ、致命的な裏切りだぞ!?なあ皆!」
そして、ポケモンと人間の共生共存を夢見るグートミューティヒを嘲笑うかの様にマドノ一行が大声で高笑いした。
アムはマドノに質問した。
「お前らにとって、モンスターは何だ?」
マドノは呆れながら答えた。
「モンスターは何者だだと?お前は馬鹿か!?」
マドノはアムへの興味を失い、そんな事よりグートミューティヒの事である大事な事を思い出した。
「そんな事より……」
「なんだ?」
「功を焦ってダンジョンを占拠しているボスモンスターを倒しまくってモンスター出現率を激減させている大馬鹿がいるらしいが、そこの女装小僧、何か知ってるか?」
それに対し、グートミューティヒは皮肉たっぷりに答えた。
「だにぃ?散々遅刻を繰り返したくせに、今更手柄や名声が惜しくなったか?遅参勇者様」
「ちげえよバカ」
今度は本当に驚くグートミューティヒ。
「なに!?」
「馬鹿みたいにボスモンスターを倒しまくったせいでモンスターの出現率が激減したって言ったろ?つまり、この俺達の経験値稼ぎの足を引っ張ってる人類最大の裏切り者がいるって言ってんだよ」
グートミューティヒは不安そうに頭を抱えた。
「つまり
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