第15話:悪徳勇者とモンスター
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いよいよ星空の勇者マドノが率いる勇者一行の自分勝手で迷惑な経験値稼ぎが度を越え始めたので、それを止めに牛乗りオーガが居る洞窟に向かうグートミューティヒ。
「ここよ」
「ここか?」
目の前の洞窟を指差すアムを視て嫌な予感がするグートミューティヒ。
「待って。今は入らない方が良いかも」
それに対し、いつもの勇ましさが無い事に悪戯心が刺激されるアム。
「あれれぇー?今更怖気付いたのぉー?」
そう言いながら洞窟に入ろうとするアムだったが、
「助けてくれぇー!」
「あー。逃げ出したオーガにぶつかって踏まれるとでも?」
しかし、アムの目の前にいるオーガに訪れた末路は、アムの予想のを大幅に超えていた。
「ライナロック!」
「だあちいぃーーーーー!」
火の最上級魔法であるライナロックを喰らい、アムの目の前で焼死するオーガ。
「あっつ!?」
それに巻き込まれて火傷するアム。
「何々!?あんな狭い洞窟であんな派手な黒魔法を使うか!?」
だが、グートミューティヒの嫌な予感はそれだけではなかった。
「アム……まだ行かない方が良い」
「……は?」
アムがグートミューティヒの方を振り向いたその時、アムの目の前にいたオーガが何者かに引っ張られて洞窟の中に引き摺り戻された。
「あーーーーー!助けてくれぇーーーーー!」
洞窟の奥で行われていると思われる惨劇に、アムは呆然となった。
「……こんな事だったら……逃げるオーガ達に踏み潰された方がマシだった……」
1度その惨劇を観たグートミューティヒは、残念そうに首を横に振る。
「あいつらに……そんな余裕を与える優しさは無いよ」
その時、再び謎の声がグートミューティヒの耳に入る。
「自分を取り戻せ」
「!?」
「自分を取り戻すのだ」
「誰だ!?」
謎の声はアムには聞こえず、グートミューティヒが何故後ろを振り返ったのかが理解出来なかった。
「あの山賊擬きの時から、何かおかしいぞ?」
マドノが入ったと思われる洞窟を探索するグートミューティヒだが……
「……何……これ……」
アムが驚くのも無理は無い。
正に蹂躙だった。
この洞窟に居たオーガ達の惨殺死体しかなかったからだ。
「これがマドノ達の現実だよ。出遭ったモンスター全てを敵とみなし、問答無用で攻撃し、自分の経験値に変える。モンスターには逃げる事すら許されない」
これでは、どっちがモンスターか解らない。
グートミューティヒは他のオーガとは違う死体を発見する。
「ん?これは?」
その死体に触れようとした時、アムがグートミューティヒを突き飛ばしてその死体を抱きかかえた。
「退け!観るな!」
それは、オーガの子供だった。
「くっそ!魔王め……私達モンスターは人間共より優秀な生物じゃなかったのかよぉーーーーー!」
グー
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