第一章
[2]次話
合コンのモブ
合コンに誘われてだ、大学生の堀勝太郎は言った、穏やかで地味な顔立ちで地味な黒髪で地味なファッションで中肉中背だ。
「僕も?」
「ああ、メンバーが足りなくてな」
誘いをかけた友人の西原弓生が応えた、きりっとした顔立ちで黒髪を奇麗にセットした青年で背は高くすらりとしている。清潔なファッションである。
「それでお前もな」
「いいの?僕地味だよ」
堀は自分からこう言った。
「人が集まることにはね」
「不向きだっていうのか」
「そうだからね」
それでというのだ。
「合コンみたいなの行っていいかな」
「合コンに誰か参加するなって法律あるのか」
西原は堀に真顔で言い返した。
「ないだろ」
「それはね」
堀も確かにと頷いた。
「そう言われたら」
「そうだな、だったらな」
「僕もなんだ」
「これも縁だ、あとお前女の子は気にするな」
合コンに参加する彼女達のことはというのだ。
「要は遊べばいいんだ」
「一緒に飲んで食べて」
「場所はカラオケボックスだしな」
「じゃあ歌ってもいいね」
「そうだ、どうせ外見がどうとか言うんだな」
「地味だからね、モブだよ」
堀は自分から言った。
「それでいいのかな」
「モブとかあるか、雑草という名前の草もないだろ」
「昭和帝が言われたね」
「それぞれの草に名前と役割があるんだ」
「人も同じだね」
「そうだ、だからお前もな」
「モブじゃないんだ」
「絶対に。そして」
そうであってというのだ。
「また言うがモブに誰かが参加するななんて法律ないんだ」
「それじゃあだね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「お前も参加してくれ、いいな」
「それじゃあ」
堀は西原の言葉に頷いた、そうしてだった。
合コンに出た、カラオケボックスで開かれたので皆で歌いもして堀も歌ったがその歌唱力はというと。
「えっ、上手じゃない?」
「この人滅茶苦茶上手じゃない」
「ボカロやれない?」
「メジャーいけるかも」
合コンに参加した女の子達は彼の歌唱力に驚いた。
「若しかしなくても」
「結構以上にいけるわね」
「外見は地味でも」
「穏やかで謙虚な感じだし」
「ポイント高くない?」
こう話した、そしてだった。
彼は女の子達の間で人気になった、それで今度の合コンに参加してくれと彼女達の方から言われた、それでだった。
合コンが終わった帰り道にだ、堀は一緒に帰っている西原に言った。
「まさかだよ」
「人気者になるなんてか」
「思わなかったよ」
夜の街を隣同士で歩く西原に言った。
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