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神々の塔
第七十三話 狼の遠吠えその十二
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「こっちは素早くなります」
「そうするな」
「相手を弱めるだけやなく」
 それに加えてというのだ。
「さらにです」
「いい考えだ、ではその様にしてだ」
「戦うことですね」
「わしも受けて立つ、動くが鈍ろうともだ」
 カエサルは余裕の笑みで以て話した。
「わしも同じだ」
「動きを速められて」
「そちらを鈍くさせられてな」
 そうしたことが可能でありというのだ。
「そしてだ」
「戦われますね」
「わしは決して無敵ではない」
 こうもだ、カエサルは言った。
「そして苦境でも諦めない」
「そうしたお考えですね」
「だからな」
「僕等もですか」
「そうして戦うならだ」
 ここでも笑って言った、見ればその笑みは戦の最中であるが非常に寛容で憧れさえ抱かせるものであった。
「喜んで受けよう、そしてだ」
「勝つことですね」
「そうするのだ、いいな」
「わかりました」 
 芥川はカエサルの言葉に頷いた、そうしてだった。
 神霊の動きを鈍くし自分達の動きを俊敏にさせた、そうして戦うとカエサルに有利に戦えてそうしてだった。
 勝った、すると彼は言ったのだった。
「さて、これでな」
「先に進めますね」
「この階の全ての神霊に勝ったからな」
 それ故にというのだ。
「行けるぞ」
「そうですか」
「そうだ、そしてな」
「そして?」
「わしは神界に戻るとな」
 カエサルは自分のそれからのことも話した、それも明るく。
「お姉ちゃん達とだ」
「遊びますか」
「女人は大好きだからな」
「それで女たらしですね」
「違う、ただの女たらしではない」
 わざと怒った顔になってだ、芥川に注意した。
「禿げの女たらしだ」
「そこはこだわりますね」
「人だった頃は嫌だったが」
 そう呼ばれることがというのだ。
「兵達が凱旋の時に言ってもな」
「お嫌で」
「咎めなかったが」
 そうしなかったことがカエサルの寛容さである。
「だがかなりな」
「不愉快でしたか」
「こちらの世界にもある巨人が連勝した時の様にな」
「ってカエサルさん野球観るんですか」
「ローマは獅子に例えられることがあるので西武ファンだ」
「そうですか」
「そして神霊で巨人ファンはおらん」
 きっぱりと言い切った。
「こちらの世界ではな、それでこれからな」
「お姉ちゃん達とですか」
「西武の試合を観戦する」
 そうするというのだ。
「頭には西武の帽子を被ってな」
「それはまさに」
「禿げ隠しだ、ではな」
「はい、これからですね」
「そなた達は下の階の宿屋で休みな」
「それから出発して」
「わしは禿を隠してだ」
 西武の帽子でというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「お姉ちゃん達と遊ぶ、では
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