第42話
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…………」
(この女…………)
リゼットが出した交換条件にヴァンは真剣な表情を浮かべて黙り込み、アニエスは複雑そうな表情で答えを濁し、アーロンは警戒の表情でリゼットを睨んでいた。
「ふふ、冗談です。――――――今回、わたくしがサルバッドを訪れた業務目的ですが…………一つは、ヴァン様と改めて直接、コンタクトする事だったのは否定しません。”あのような”形で通信を打ち切られたので尚更気になってしまったのもありますし。」
「いや…………それについては悪かったとは思ってるけどよ。」
するとリゼットは微笑みながら交換条件は冗談であることを告げた後、自分がサルバッドに来た理由の一部を説明し、気まずそうな表情を浮かべてヴァンを見つめ、リゼットの答えに冷や汗をかいて表情を引き攣らせたヴァンは気まずそうな表情で答えた。
「クク、浮気の言い訳をする亭主みてぇだなァ?」
「……………………」
(はっ…………アニエスさんの息吹が仄暗く…………)
(ハァ…………)
(うふふ、あのくらいで彼女に嫉妬するなんて、若いわね〜♪)
(まあ、”最初の押しかけ助手”としては自分よりも前にヴァンさんと親しい上、サポートも務めているというリゼットは色々と複雑なのかもしれないわね。)
アーロンがヴァンにからかいの指摘をするとアニエスは複雑そうな表情でヴァンとリゼットを見比べ、フェリはアニエスに起こっている出来事を察し、現在アニエスが抱いている感情の正体に気づいているメイヴィスレインは疲れた表情で溜息を吐き、メイヴィスレイン同様アニエスの気持ちを察してからかいの表情で呟いたユエファにマルティーナは苦笑しながら指摘した。
「そしてもう一つは他でもありません。『サルバッド映画祭』の現地調査のためです。」
「なに…………」
「そ、そうなんですか…………?」
リゼットが口にした意外な答えにヴァンは真剣な表情を浮かべ、アニエスは戸惑い気味の様子で訊ねた。
「直截に言ってしまえば…………二ヶ月前に開催予定だった『メッセルダム映画祭』。あちらの事情が関係しています。」
「民族テロで中止になった…………」
「…………ハン…………?何となく見えてきたな。」
リゼットの口から出たある出来事を耳にしたフェリとアーロンはそれぞれ真剣な表情を浮かべた。
「―――――きっかけはテロ予告と相次ぐ不審火で中止を判断せざるを得なかったメッセルダム市…………それと違約金を負担した現地の警備会社の要請です。かのテロの背景と、その中止によって想定以上に注目を集める『サルバッド映画祭』との因果関係――――――北カルバード州における我が社の危機管理評価の更新のため、改めてわたくしが派遣される運びになりまし
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