暁 〜小説投稿サイト〜
エターナルトラベラー
第七十五話
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その日、昼前からユカリの家に来たアテナはユカリが用意したお茶請けをかじりながらテレビを見ていた。

『今日は家にある廃油を使って簡単に石鹸を作る方法をお教えします』

と、テレビからは今更感のあるような話題を旬の芸人を使いながら、いかに簡単かにスポットを当てながら説明している。

そのショートコーナーを見終わったアテナは台所でお昼ご飯を作っているユカリに向かって話しかけた。

「家にある廃油で簡単に石鹸が作れるらしいな。この家に廃油を溜めたペットボトルを見ないのだが、石鹸を作っていたのか?」

ちょっとした好奇心。だが、ユカリの返答はおかしなものだった。

「いいえ。家で廃油は出る事は無いわ。だって無限に使える油だもの」

「そんな物が存在するはず無かろう。妾に出している揚げ物の類は何で揚げているというのだ」

テレビ番組で世の常識を身につけ始めたアテナが否定する。

「この『モルス油』は特別製でね、無限に近い回数揚げても全く汚れないのよ」

たまに()したりはするけどね、とユカリ。

「モルス油?」

「この世界とは別の世界で発見された油よ」

「別の世界だと?幽世(かくりよ)の事か?」

「そのカクリヨってものは知らないんだけど。世界は無数に存在するの。その数有る世界ではこの世界とは全く別の進化を辿る世界が稀に現れるわ。その油を手に入れた世界は『食材』が異常に進化した世界だった」

「………」

アテナはどう反応してよいか分からない。自身は叡智の女神でもあるゆえ、この世界の出来事であれば、その慧眼で見抜く事は可能だろう。しかし、別の世界となると…

「あ、その顔は信じてないわね」

「今の話の何処に信じられる箇所があったのだ?おぬしの息子と同じく妄言であろうよ」

「じゃあ、この油をアテナはどう説明するのよ」

「おぬしがこっそりと廃棄しているのであろう?」

「違うってっ!もう、本当に有るんだからね」

「ほう、それじゃどう言う世界だったのだ?取って来たと言う事は行った事があるのだろう?」

と、アテナが挑発する。即興の作り話でも聞かされたなら鼻で笑ってやろうとしたのだ。

「そうね、あの世界は…」










今日は機動六課が終わり、地球に帰ってきた為に海鳴の翠屋で働いているのだが、そこに旧知の二人が訪ねて来たために少し休憩を貰ってテーブルに付いている。

旧知の二人と言うのは、目の前で本当においしそうにシュークリームを食べている深板とファートだ。

「そう言えばさ」

と、俺は今まで疑問に思っていた事があるので、いい機会だと話題を振る。

「なんだ、獅子座さん」

まだ獅子座で固定か、深板よ…
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