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とある星の力を使いし者
第172話
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いつもと変わらぬ学校生活。
テストが無くなったが、授業は無くならない。
黒板に書いている字をノートに写す者。
徹夜でゲームをやっていたのか、机で突っ伏して寝ている者。
隣や前後左右の人と小声で話をする者。
授業の時間をそれぞれのやり方で浪費している。
麻生恭介は授業を全く聞かず、窓の外を眺めている。
何を見ているかというと、空を悠々と流れる雲。
その空を羽ばたく鳥。
そんな他愛のない風景だ。
小萌先生の授業なら多少は前に注意を向けるのだが、それ以外はほとんど窓の外を見ている。
今日も平凡な一日が流れていく。
そう思っていた。
それは突然訪れた。
感じる事ができたのはおそらく自分だけだと。
世界がドクン、と脈動した。
眼を見開き、思わず席を立ってしまう。
教室にいる者全員の視線が麻生に集まる。
それを気にはしてられない。
一瞬だが、確かに感じた。
誰かが星の力を使ったのだ。

(俺の他に星の力を扱える者がいる?)

可能性があるとしたらあの猫だ。
だが、麻生の直感が告げていた。
これはあの猫の仕業ではない、と。

「麻生君、どうかしましたか?」

教師が突然立ち上がった麻生に話しかける。
その声を無視して、考えに耽る。
どれだけ考えようと答えは見つからない。
見つからないのなら、直接現場に向かってこの目で確かめる。
窓を開け、身を乗り出す。
その前に麻生は教師の方に向いて言う。

「早退します。」

「な、何を言って。」

教師の言葉を聞かずに、麻生は窓から外に出る。
能力を発動して、その感じた場所に向かう。

「恭介の奴、何かあったのか?」

どこかへ飛び去って行く麻生を見ながら上条は言う。

「どうだろうな。
 ただ、キョウやんが突然立ち上がった時の表情。
 あれはただ事ではない雰囲気だったぜい。」

他の生徒には聞かれないように、上条だけにあの時の麻生の表情について土御門は語る。
生徒がざわつく中、制理だけは手を強く握りしめていた。

「恭介。
 あんたは私の知らない所で何と戦っているの。」

あの化け物に追われていた時、麻生はその首謀者と対峙した時に何かを知っていた。
そして、今回も自分には何も言わずにどこかへ行ってしまう。
一緒に暮らしたり、寝たりしているのに制理は麻生が遠い存在に思えた。



星の力を感じた場所は第一一学区のコンテナ集合地帯。
そこには激闘の爪痕が残っていた。
コンテナの山は片っ端から崩れ、アスファルトはめくれ上がり、所々では地盤そのものが割れて、崖のように盛り上がっている。
まるでこの区域だけ戦争が起こったかのような有様だった。
いや、戦争でもここまでならない。
明らかに高能力者同士の戦闘に違
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