第172話
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増幅した拳を受けても、オッレルスは一ミリも動かず、その拳を受け止めた。
手で直接ではない。
顔面で受けたにも拘わらず、まるで麻生が寸止めしたように微動だにしていない。
もちろん、寸止めしたつもりはない。
咄嗟に後ろに跳んで、距離を置く。
「いつまで人の戦いをしている。
本気を出せ。」
「それだけお望みなら。」
麻生は身体に蒼い炎を纏う。
星の力を全身に展開しているのだ。
「リクエストに応えてやるよ!」
さっきと同じ様に地面を蹴って、オッレルスに左の拳を顔面に向けて突き出す。
今の麻生なら聖人ですら凌駕する力を有している。
速度も威力もさっきとは段違いだ。
明らかに直撃すれば、オッレルスの命を奪うかもしれない。
それでも麻生は拳を突き出すのを止めなかった。
心の奥底では分かっていたのかもしれない。
「こんなものか。
今の君の力は。」
オッレルスは麻生の全力を簡単に防ぐ事ができる事を。
突き出された拳をオッレルスは左手だけで受け止めた。
そこでようやく気がついた。
オッレルスの身体にも自分と同じように蒼い炎を纏っている事に。
右手を握り締め、オッレルスは麻生の顔面に一撃を加える。
少しも反応できなかった麻生は地面を滑りながらも、吹き飛ばされるのを堪える。
「くぅ!」
すぐさま治療しようとした。
術式が発動しても、傷や痛みが治る事はなかった。
「自分の能力を把握していない君は知らないだろう。」
「まさか・・・」
口の中が切れたのか、口の端から血が流れる。
「その通り。
ダゴン秘密教団が扱う術式以外にも治療不可能の場合も当然ある。
星の力を使った攻撃は自然治癒を除く、全ての治療魔術、体質などを無効化する。
科学医療による自然治癒も可能だが、あれも一瞬で治せるものではない。
あくまで自然治癒を少しだけ促進しているだけに過ぎない。
不死者でも瞬間回復を持った能力者でも、この力の前には無意味だ。
故に彼らにはこの力を扱う者は天敵とされている。
まぁこれ以上に、彼らにとってこの力には厄介な効果があるんだけどね。
これは同じ力を扱う者同士でも変わらない。
君の頬の痛みは自然治癒以外では治らないよ。」
手で血を拭い、再び接近する。
今度は大振りではなく、オッレルスの反撃を警戒した軽いジャブのような攻撃を放つ。
それらを全部受け止め、避けられていく。
一撃も当たらない事に次第に苛立っていく。
「この力は単に身体能力を促進させるだけではない。
このように」
それは『説明のできない現象』だった。
気がつけば麻生は吹き飛ばされていて、肉体の表面から芯まで、その全てに均等なダメージが襲う。
ワンポイントの
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