第104話 憂国 その4
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、第五次・第六次イゼルローン攻略戦、ヴァンフリート星域会戦、第三次・第四次ティアマト星域会戦、それ以外にも数多の戦いが繰り広げられた中で失われた戦力があったとしてもだ。その為に国力にどれだけ負担がかかっていたか、軍官僚や行政官がどれだけ苦心惨憺したのか、いざそういう立場に立ってみれば想像を絶する。
「決して夢物語ではないですよ。イゼルローンから五年ぐらい帝国軍が出てこなければ、何とかなる数です」
「それこそ夢物語ではないですか。帝国軍は我々を叛徒と呼び、全銀河の統一と安寧を名目に、同盟に対して侵略行為を止めようとしない。中佐はどうやってそれを五年間阻止することができるとおっしゃるんです?」
「まず毎年六〇〇〇億ディナールほど軍事予算を上乗せすることですね。しかし急激な増税は無理なので、六兆ディナールを三〇年償還の固定金利分割債として発行したらどうかなと」
本当はもうちょっと。出来れば一〇兆ディナールくらいは欲しいが、国家予算が三兆四〇〇〇億ディナールの現時点においてその三倍の額だ。そこまでするとデフォルトを恐れてフェザーンも購買意欲を失いそうなので、ワレンコフが伝えてきた額の二倍でどうかなと言ってはみたが、聞いていたパトリック氏の顎とフォークに刺さっていたリンゴは見事に落ちていた。
「……札束で顔を叩けば子供も老人も兵士になるとお思いで?」
落っこちたリンゴを拾いつつ、出てもいない汗を手で拭いながらパトリック氏は問う。そんなことを俺が考えているとは思ってはいないが、一応確認ということだろう。だがここから先を話すには、パトリック氏に確認が必要だろう。
「パトリックさん。このことを記事にして公表することはまずお考えにならない方がいいでしょう」
「記者の言論を封じるおつもりですか」
「膨大な金の動く話です。私が話すこと自体が証券取引法違反になる可能性が高い。記事にしようがしまいが、パトリックさんやパトリックさんの知人が関連株を買えば、私はまず生きて社会に出ることは出来なくなるでしょう」
「それは、また……」
「マニアが情報誌に自分の空想を寄稿するのと、現役のしかも政府組織に所属する軍人が大戦略の変更を記者に話すのとでは訳が違います」
シトレにしろトリューニヒトにしろ、大戦略を弄れる立場にある人間だから当然そのあたりは心得ている。ヤンやラップ、ワイドボーンはあくまで戦略談義の一環だと理解している。ワレンコフに伝えたのはおそらくトリューニヒトなのでそこは俺の責任ではない。やり方を話していないホワン=ルイについては、まぁ問題にしなくてもいいだろう。そしてパトリック氏は現在の国防委員会の『サロン』仲間ではない。
「……わかりました。記事にはしませんし、伺いもしません。どうせ私には中佐の話される内容の優劣可否などわ
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