第133話『文化祭2日目』
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菜。色白で可愛い彼女はまさに、白雪姫の肩書きを冠するにふさわしかった。晴登の感想も嘘偽りなく、最初に舞台で見た時は目が離せないくらい惹き込まれてしまったのだ。きっと、客席にいた誰もが同じ感想を持っただろう。
「そ、そこまで褒めてくれるとは思いませんでした……ありがとうございます」
「あれ、なんかうちが褒めた時と反応違いません?」
正直に褒めたところ、優菜は恥ずかしがって俯いてしまった。刻はその反応を訝しげ、晴登の横で結月は肩をすくめる。素直に褒めただけなのに、何か変なことを言ってしまっただろうか。
「えっと、お二人はこれからどちらに?」
「ちょっと用事があって魔術部の先輩の所に行ってみようかなって」
朝一に劇を観に来たおかげで、この後もまだ時間がある。予定としては、昨日回れなかった所に行ってみるのはもちろん、違う学年の魔術部メンバーにアーサーから聞いた話を伝えようと思う。
「ではうちは今日は優ちゃんと二人で回りましょうかね!」
「ごめんなさい。今日は先約があるので、私は遠慮しておきます」
「えぇ、聞いてませんよ優ちゃん! 誰との約束ですか?!」
昨日も一緒だったし、てっきり今日も二人は一緒に回るのだと思っていたが、どうやら優菜に先約がいたらしい。刻に詰められ、優菜は申し訳なさそうに口を開く。
「え、えっと……大地君、です」
「え? なーんだ、だっちーでしたか。昨日も一緒にいましたし、別に驚くことでもないですね。──あれ、もしかして二人って付き合ってるんですか?」
「い、いや、違うんです、そういうのじゃないんです! 友達ですよ!」
「なーんか怪しいですねー?」
優菜が手を振って否定すると、刻がにやにやと笑う。
確かに、最近優菜と大地はよく一緒にいるイメージがある。事情を知らない刻からすれば、二人が付き合ってると勘違いするのも仕方のないことだ。……いや、晴登から見てもどっちかわからないのだけれども。
「……本当に、ただの友達ですよ。私が恋愛なんて、おこがましいですから」
しかし、そう自嘲するように吐露する優菜を見て、さすがの晴登も理解した。
優菜は未だに林間学校の一件を引きずっている。晴登と結月から許しを得たとはいえ、犯した過ちは彼女の中で悔いとして残り続けている。だから罰として己に枷をかけ、自分の気持ちに正直になることを彼女は許していない。
そんなの気にし過ぎだと伝えてあげたいところだが、晴登達の口からそれを告げても慰めにはならないだろう。そのため言葉をかけることができず、気まずい沈黙が流れる。
「な、何ですかこの空気。もしかしてうちのせいですか?」
「ううん、刻ちゃんのせいじゃないですよ
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