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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第210話:蛇に縛られた心
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空へ逃げる事でその攻撃を何とかやり過ごそうとした。
「冗談じゃねえッ!」
一瞬あれも喰らう事を考えたオーガだったが、今その魔法を使おうとすれば間に合わず逆に切り裂かれてしまう。咄嗟に上空に逃れてやり過ごし、その後に2人の少女ごとザババの刃を取り込んでしまおうと画策した。
だがザババの刃は狙った獲物を逃がさない。回避された切断兵器は空中に飛び上がると反転して再びオーガへと向けて飛来したのだ。思わず目を見開くオーガだったが、これだけの時間があればスペシャルの魔法を使うだけの余裕はある。
オーガは悠然とスペシャルの魔法を発動しようとして、しかし肝心の指輪が手元にない事に気付いて愕然とした。
「な、あっ!? ど、どこに……はっ!?」
ふと颯人の方を見れば、そこでは颯人が一つの指輪を親指で弾いて手でキャッチする姿が見える。その指輪は間違いなくオーガから掠め取ったスペシャルの指輪に他ならなかった。あの超高速移動での攻撃の最中、颯人は抜かりなくオーガから指輪を盗んでいたのだ。
「テメェ……!?」
瞬時に怒りを感じるオーガであったが、次の瞬間彼に切歌と調の合体技が炸裂。避ける間もなく攻撃を喰らったオーガは、空中で激しい爆発を起こしそのまま屋上へと落下したのであった。
「やったの?」
「寧ろ、やり過ぎてしまったかもしれないのデス」
「いんや、アイツら相手にはどちらかというとそれくらいの方が……」
流石に魔法使い相手とは言えこれはやりすぎたかと不安になる切歌に対し、颯人は逆にこれくらいがちょうどいいと考えていた。と言うのも、魔法使い……特にジェネシスの幹部レベルになると中途半端に死に掛けると却って危険な場合があった。
3人が見守っていると、煙の中からオーガがふら付きながら出てきた。数歩歩いたオーガは、そこで力尽きたように倒れる。その様子に颯人はこっそり安堵の溜め息を吐いた。と言うのも、幹部クラスの魔法使いは中途半端に死に掛けると逆にファントムを生み出すリスクがあるからだ。魔力を封じてしまえさえすれば問題無いが、そうでない場合そのままファントムとの第2ラウンドへと突入してしまいかねない。病院の機能が低下し一刻を争う状況の中、これ以上の戦闘は出来れば御免被りたかった。
幸いな事に颯人が危惧したような事態にはならず、倒れたオーガを見てベルゼバブも潮時と感じたのか残りのメイジを率いてオーガを連れてその場を撤退する事を選んだ。
「チッ、ここまでか……退くぞッ!」
〈テレポート、ナーウ〉
次々と姿を消す魔法使い達。ガルドは一瞬彼らを追いかけようとしたが、直ぐに階下の入院患者達への対処が先と思い留まると、休む間もなく患者たちの救助活動へと取り掛かる。
後続の奏達と協力しながら、
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