人形劇
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ね」
「はい。初めまして! 衛藤可奈美です! ハルトさんを迎えに来ました!」
ハルトにとって親しい参加者、衛藤可奈美。
予想外の人物の姿に、ハルトの目が点になるが、市長は「ほっほっほ」と好々爺のようにほほ笑んだ。
「なるほど。松菜君の友人か。ここ最近、この研究室も随分と賑やかになったものだ」
市長が呟く。
可奈美は、要件であるハルト___の横を通り過ぎて、すぐさま市長の前で足を止めた。
「可奈美ちゃん?」
「……私には分かる」
「何が?」
だが可奈美は、ハルトの質問には答えずに、市長へ急接近。その顔を近づけ、星のように目をキラキラさせながら市長へ尋ねた。
「あの! もしかして、剣とかやられていますか!?」
一瞬驚いた素振りを見せた市長は、朗らかな笑みを浮かべながら可奈美の質問に答える。
「ああ。剣なら、私も嗜んでいるよ」
「やっぱり! その体つき、絶対に剣術をやっている人だと思った! どんな剣術なんですか? 私、柳生新陰流をずっとやってきているんです! でも最近は鹿島新当流もいいなって思ってて、ちょっとだけ練習してみたんですよ! それに、最近突き技を習得したんです! でも新陰流って相手の攻撃を見て、そこにカウンター戦法が多いじゃないですか! でも鹿島新当流とかの突き技って___」
「可奈美ちゃんストップストップ!」
これ以上放っておけば、彼女は明日の朝になっても口を動かし続けるだろう。
ハルトは可奈美の口を抑え、市長へ笑顔を向けた。
「す、すみません。この子、剣術の話になると止まらなくて……」
「構わんよ。言った通り、私も剣は嗜んでいる身だ。若いのに、ここまで剣について造詣が深いとは大したものだ」
「ありがとう! えへへっ! ハルトさん、褒められちゃった!」
「何でいきなり剣術のバトルジャンキーになってるのさ……」
「だって最近ハルトさん私に構ってくれないんだもん。私も剣で語り合える相手が欲しいよ」
「真司がいるだろ真司が」
「真司さんも忙しいって」
「響ちゃんがベルセルクできるでしょ」
「あれ毎回使うの大変だって」
可奈美は頬を膨らませた。
言葉だけなら可愛らしいものだが、その矢印が剣に向かっているとわかればどうしてもほほ笑むことができない。
「俺もダブルワークで疲れてるからね。流石に帰ってから可奈美ちゃんの剣には付き合えないよ……」
「ぶーぶー」
本気ではないであろう非難。
だが、それを見て市長は「はっはっは」と肩を動かす。
「よかろう。君も時々ここに来てくれれば、また私に会うこともあるだろう。その時は、剣の相手、受けて立とう」
「ありがとう! 絶対、約束ですよ!」
可奈美と市長の間で握手が交わされた
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