第二十八章
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神妙な顔になってだ、桜井は言った。
「全部思い出したよ」
「そうだな」
浮世は困惑しきった顔の桜井に応えた。
「これで」
「デザイアグランプリのこともライダーのこともな」
「全部思い出したな」
「そうなったよ」
「私もよ」
「俺もだ」
鞍馬と吾妻も言ってきた。
「全部な」
「あの戦いのことも他のこともね」
「辛いか」
浮世は二人にはこう声をかけた。
「思い出して」
「いえ、家族は皆そのままなのよね」
「そうだ」
浮世は鞍馬にその通りだと答えた。
「全てな」
「ならいいわ、私の記憶がどうでもね」
「今はそのままならか」
「それでいいわ、それでね」
鞍馬は浮世にさらに話した。
「この戦いもね」
「どうする」
「戦うわ」
こう答えたのだった。
「私もね」
「そうするか」
「戦い以外ないだろ」
吾妻の声はかなり強かった。
「そんな喧嘩売られてな」
「お前はだな」
「ああ、お前とは色々あったうえでな」
「一緒にやってきたな」
「あの時のままだ」
浮世の顔を見て告げた。
「だからな」
「戦うな」
「あいつ、スサノオとな」
「それならな」
「私は景和が戦うなら」
沙羅は弟に対して言った。
「一緒にね」
「戦ってくれるんだな」
「ええ」
微笑んで答えた。
「そうさせてもらうわ」
「悪いな、姉ちゃん」
「何言ってるの、姉弟でしょ」
今度はにこりと笑った、そのうえで弟に告げた。
「それならね」
「助けてくれてか」
「一緒に戦うわ、私もライダーだしね」
「それじゃあな」
「黙って帰ることはないよな」
晴家はいささか口を歪めさせた笑みで話した。
「俺もな」
「仕掛けられたからか」
「あれだけな、だったらな」
「やり返すな」
「そうしないと気が済まないな」
こう浮世に話した。
「俺は」
「それならな」
「ああ、俺も戦うな」
「宜しく頼む」
「僕は降りてもいいですが」
五十鈴も言ってきた。
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