激闘編
第九十二話 再侵攻
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宇宙暦796年1月18日09:00
バーラト星系、ハイネセン、テルヌーゼン市、「ガストホーフ・フォン・キンスキー」
ヤマト・ウィンチェスター
“ウィンチェスター大将、そして奥様も…笑顔でお願いします…そう、そう…もう一枚…ありがとうございました”
“大将閣下、奥方も…こちらにもスマイルお願いします…ありがとうございます”
『では、お二人は下士官術科学校在学中から愛を温めてきたと…うらやましいお話ですね』
「当時は将来こんな事になるとは思ってませんでしたよ」
『そして閣下は…当時のウィンチェスター兵曹は後ろ髪を引かれる思いで任地のエル・ファシルへ赴き、そこで当時のヤン中尉の知遇を得る…という事ですね。当時のミラクル・ヤンにはどの様な印象を持たれましたか?』
「とても奇跡を起こす様には見えませんでした。人は見かけによらない、という言葉のいい実例でしたね…」
『そうなんですね…そして今やそのヤン中将を追い抜き同盟軍史上最年少の大将、宇宙艦隊副司令長官となられた訳ですが……あ、はい、ご夫妻のお二人は一旦ここで休憩入りまぁす』
今日は軍の広報誌『JP3-61』の取材を受けている。取材場所も軍広報センターではなくて奥様の実家で…という事で、ガストホーフ・フォン・キンスキーに来ている。仕事でエリカの実家に来るのは妙な感じだ。
「すみませんお父さん、ご迷惑をおかけしてしまって」
「そんな事はないさ。ウチの宣伝にもなるからね。でもまさか、私達やエリカまで取材を受けるとは思わなかったよ」
そう、エリカの実家という事もあって、俺だけではなくエリカの両親も取材を受けているのだ。
「どうやら私達の番の様だ、ではまた後で」
エリカの両親が、俺達と入れ違いに取材会場であるパーティールームに入って行く。宇宙艦隊副司令長官就任以来、こういった取材を受ける事が多くなった。アムリッツァを確保した時以来だ…同盟軍史上最年少の大将!ブルース・アッシュビーを越えた男!アムリッツァの守護者!……とまあ色々な二つ名をマスコミが奏でている。いい加減まともに仕事をしたいんだよなあ。
“しばらくはマスコミ攻勢が続く筈だ、もう慣れっこだろう”
辞職したシトレ親父の言だ。親父本人も辞職したことで取材攻勢に遭っているらしい。十二月に行われる評議員選挙では故郷カッシナから出馬する事が決まっている…。
“ワシがまさか宇宙艦隊司令長官とはのう。国防委員会も何を考えておるのやら”
ビュコック爺さんはそう言って宇宙艦隊司令長官に就任した。総参謀長はおなじみのパン屋、チュン・ウー・チェンだ。ビュコック長官は能力的には間違いない、だが本人は兵卒あがりという事で引け目を感じている。パン屋本人もパン屋なんてあだ名をつけられるくらいだから、押しに強くはない。副司令長官なん
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